「2024年問題」として物流課題の先行きが注目される中、日清食品は加工食品全体における物流の標準化やルール作りにも積極的にかかわっていきたい考えだ。安藤徳隆社長の直下でサプライチェーンの構造改革を担当する深井雅裕常務取締役事業統括本部長兼Well-being推進部長は「これまでも様々な企業・団体・関係省庁と議論や連携を重ねてきたが、物流は即席麺業界内だけでなく、加工食品全体の課題と捉えて取り組んでいる。当社がハブになって標準化やルール作りをリードしていきたい」と話した。
深井常務によると、日清食品は15年頃から輸送・保管等でのパレット化を推進。現在、自社の工場から営業倉庫の幹線輸送は100%完了している。19年にはサプライチェーン(SC)構造改革プロジェクトを立ち上げ、資材調達、生産、販売のすべてに横串を通して物流の最適化に取り組んできた。パレット化は「卸売業、小売業に対するすべての納品では約5割まで進展し、大手の卸やコンビニのセンター向けに限るとほぼ完了」(深井常務)という。
業界内外での連携も図ってきた。食品メーカーとはすでにサントリーホールディングス、アサヒ飲料、サッポログループ、伊藤園などと共同輸配送を実施。23年にはJA全農と川上から川下をつなぐ包括的な連携もスタートさせた。また業界内での連携で先行するF-LINE(出資:味の素、ハウス食品グループ本社、カゴメ、日清製粉ウェルナ、日清オイリオグループ)の主要企業と定期的に情報交換しているほか、卸売業が加盟する日本加工食品卸協会、スーパーが組織するSM物流研究会とも議論を重ねている。
深井常務は「当社は物流を重要な経営課題の一つに位置付けているが、企業によってはこれまでコストセンターとして重要視してこなかったケースも多いと聞く。直近は食品の関連業界でも改革が進みつつあるが、26年には特定荷主に物流を統括するChief Logistics Officer(CLO)の選任が義務化されるので、今後は議論が深まりスピード感を持って諸問題が解決に向かうのでは」との期待も語った。加えて、自身が行政主導のフィジカルインターネットセンターで理事を務めることから「製配販の物流における標準化やルール作りでハブとなって主導的な役割を果たしていきたい」とも述べた。
即席麺業界は、メーカーらが加盟する日本即席食品工業協会の物流問題検討会等で十分に議論した上で、23年9月に国が求める物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画を策定、公表している。