味の素 「SIIDA」でかつお節の魅力発信 手仕事ならではの職人の手間と情熱

かつおの魚肉を煮詰めて乾燥させた日本古来の伝統食「かつお節」。様々な食品に使われる「だし」は、このかつお節を煮出して作られる。だが「若年層はかつお節の作り方を知らない」と、かつお節を使った新しいだしパック「SIIDA(シーダ)」を提案する味の素の村瀬健哉ブランドマネージャーは嘆く。

同社は、からかつお節の製法や燻し方による味わいの違いを楽しめるだしパックの新製品「SIIDA」(焚、燻、酵)を4年半かけて開発し、昨年11月からD2Cサイト(AJI MALL)限定で発売した。商品名は、新たな「だし」の魅力を伝えようと二文字を逆さにして名付けた。

かつお節には、水揚げしたかつおを煮て、燻製と休憩を繰り返す「荒節」と、カビ付けと天日干しした「枯節」の2種類があり、「枯節」は水揚げ、生切り、煮熟、燻製、カビ付け、天日干しなど様々な工程を経て完成する。そこで味の素は、「かつお節の製造過程や職人の想いを知り、だし文化の奥深さに興味をもってほしい」とプロモーションサイト「空想だし料理店SIIDA」を立ち上げた。

「SIIDA」とかつお節 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「SIIDA」とかつお節

「SIIDA」(「焚」「燻」「酵」の3種、各28g×2袋・計6袋入り、税込2,484円。計6袋入り3,564円、各送料別)は、かつお節を使用しただしパック原料を他社よりも約4倍使い、調理には調味料を足す必要がないよう濃く仕上げている。

「焚(HUN)」は、長時間じっくり燻製させる荒節を使い、焚火を思わせる風味とコクと酸味のバランスが取れた味。「燻(KUN)」は、独自の新焙乾装置で燻した荒節を使い、スモーキーで癖のある風味。「酵(KOU)」は、本枯れ節を使い、上品でまろやかな味わいが特長と、3種それぞれの個性が活きている。

「SIIDA」を試飲するインフルエンサー - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「SIIDA」を試飲するインフルエンサー

同社は10日、食に精通するインフルエンサー10人を招いて試食体験会を開催。水400mlを沸騰させ、「SIIDA」だしパック1袋を入れ弱火で3分間煮出してつくった3種のだし割りの飲み比べや、「燻」を使ったうどんを試食してもらい、その感想や独自の使用方法を聞くと共に、だし茶漬けやだししゃぶ、日本酒のだし割など、だしの個性を活かしたメニューも紹介した。

かつお節は、工場に運ばれたかつおを一晩かけて丁寧に解凍し、頭や内臓を除き、大釜でじっくり煮込んだ後、香りをつけてかつおを燻製する焙乾(ばいかん)工程を通す。

体験会では、薪は厳選した、豊かな香りを引き出ため再生力の強い樹齢30年のナラの木を使うことや、薪を燃やして鰹に煙と熱をあてて水分を飛ばして燻製にする焙乾工程には約3~4週間かけることなど、手仕事ならではの職人の手間が必要と解説。当日はかつお節の工場関係者も出席し、良いかつお節をつくる条件などを聞いた。

「空想だし料理店SIIDA」のノレン - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「空想だし料理店SIIDA」のノレン

味の素の村瀬ブランドマネージャーは、「世の中の人、特に若い人はかつお節の作り方を知らない人が多い。メーカーでは知っているが、生活者まで届いていないというジレンマがある。そこでかつお節からつくっただしの良さを伝えるため、新ブランドSIIDAを発売し、ネットで届ける。かつお節の生産者は焼津を含めて年々減っている。かつお節の新しい商品、価値を伝えるためプロモーションフレーム〝空想だし料理店SIIDA〝を立ち上げた。SIIDAを通して日本の伝統的な食文化を次の世代にもつなげたい」と語った。

株式会社アピ 植物性素材 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)