日本のコンビニ業界に先駆けて1971年、北海道札幌市に1号店をオープンしたセイコーマート。
セコマグループは製配販のサプライチェーンを構築しセイコーマートの商品力を高め独自路線を歩んでいる。今後は北海道と茨城県でセイコーマートの店舗拡大を図りつつ、コンビニ市場で店舗数が飽和状態になりつつあることから、製造機能・卸売機能の強化に注力していく。
セコマグループの今後の方向性について、セコマの赤尾洋昭社長は「どちらかというと店舗数を伸ばすよりも製造部門を伸ばしていきたい。製造部門はコンビニほどある意味、飽和しておらず、特徴のある差別化商品が作れる」との考えを明らかにする。
セコマグループは現在、東京に事務所を構え、大手スーパー・量販店・ドラッグストアなどへの広域営業を展開し、それらの外販による売上高は拡大傾向にあり70億円を突破した。
「外販で一番多くお取り扱いいただいているのは牛乳。牛乳はセイコーマートでの販売量よりも多い。そのほか、アイスやサワー類、お菓子の一部などを売っていただいている」という。
ペットボトル(PET)コーヒー「名水珈琲 無糖」も外販。
同商品は、北海道羊蹄山の大雪渓から長い歳月を経て、麓の京極の里にふき出した冷麗な天然水で良質のコーヒー豆を抽出した無糖ブラックコーヒーで人気を集めている。
PETコーヒー販売の経緯について「現在はグループ会社となったコーヒーの製造会社が当社工場の近くにあり、かなり昔からチルドカップコーヒーを製造販売しているほか、本州の喫茶店やデパートにもギフト用のPETコーヒーなどを卸売していた。この会社をミネラルウォーターや氷などの製造会社であるグループ会社が買収して北海道ミネラルウォーターとして一体化した」と振り返る。
セコマグループでは、惣菜・牛乳・ヨーグルト・アイスクリーム・漬物・カット野菜・水産加工など約20か所の工場が稼働。農業法人・北栄ファームでは野菜の栽培も手掛けている。
約20か所の多くの製造ラインは徐々に老朽化が進んでおり、一部では高まる需要に製造キャパシティが限界に達しつつあることから「製造能力を高め効率化するための新製造ラインの設置や建屋自体を刷新するなど設備投資を現在いろいろと計画している」。
商品開発においては、北海道民の味覚を最優先する。
「北海道民の味の嗜好というものがある。明治時代、全国から入植しいろいろな嗜好が混じり合っているが、どちらかというと東北や北陸、関東の味わいに近い。加えて昔は流通網が今ほど整備されていなかったこともあり、本州のメーカーの商品で最初に売り出された商品が今でも支持される傾向にある」とみている。
北海道民の味覚であることを文化や歴史などを踏まえて思いを持って伝えられるかも重視する。
「“お客様から見たときにその商品を買う理由があるか”をしっかり考えた上で商品を開発すべき」と語る。
この考えのもと、原材料の品質にも踏み込む。
「当社では、開発担当が原材料の生産者や工場関係、物流関係とよく話し合うようにしている。これが本当の意味でのサプライチェーンだと考えている。単なる川上から川下への流れはバリューチェーンに近い。しっかりした商品を出そうとすると途中段階も巻き込む必要があり、これがサプライチェーン構築の大きな原動力となっている」と力を込める。