伊藤園「お~いお茶」ブランディングに手応え 大谷翔平選手効果でマインドシェア高まる 販売面でも期待

 伊藤園の本庄大介社長は12月3日、決算説明会に臨み、大谷翔平選手を起用した「お~いお茶」のブランディングに最注力していく方針と上期の手応えを語った。

 大谷選手が「お~いお茶」のグローバルアンバサダーに就任したのが5月20日。その前後で全国15-79歳男女3000人を対象に、市販の緑茶飲料について思い浮かぶブランド名や商品名に関する質問を投げたところ、「お~いお茶」の回答率が3月の26.8%から9月に37.3%へと高まったことを明らかにした。

 これを踏まえて「(大谷選手の起用によって)売上げや利益以上に期待しているのがマインドシェア。このマインドシェアをどこまで上げられるかが我々の一番の目標としている。大谷選手とは複数年の契約のため、“緑茶飲料と言えば『お~いお茶』”を60~80%にもっていきたい」と意欲をのぞかせる。

 販売面でも期待を寄せる。

 伊藤園によると、緑茶飲料市場は販売金額ベースで今年、前年比3.2%増の4730億円と推定。この中で伊藤園のシェアは横ばいの36%の見通し。「最終的にはシェアを5割近くまでもっていきたい」と力を込める。

伊藤園の本庄大介社長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
伊藤園の本庄大介社長

 上期の手応えとしては、7月8日に発売開始した「お~いお茶」中型容器の「大谷翔平ボトル」を挙げる。

 これにより中型容器の対前年同月比伸長率は7月に4.9%増、8月に13.8%増を記録し「夏暑かったからではなく、大谷選手によるもの」とみている。

 ブランド力向上により収益力も高まっている模様。

 「(各社の価格攻勢に対して)我々はそこまでやらなかった。特に大型容器。大型容器の安売りは勝者なき戦い。今回はそれに参戦しなかったところ、我々の想定以上の数字に収まって、ある程度の効果があった」と振り返る。

 飲料の中型容器を中心に各社10月に実施した価格改定が市場に反映されるのは年明けとみている。

 「市場では店頭価格は絶えず動いており、上がったり下がったりしながら、ある程度のところを維持していくのが理想的。(店頭価格で)8円程度(のアップ)が、春から夏にかけて定着していくことが予想される」との見方を示す。

 需要喚起策としては、オールターゲットを軸足としながら学生など新規ユーザーの獲得をより意識した大谷選手起用の動画広告を今後予定している。