13.1 C
Tokyo
13 C
Osaka
2025 / 11 / 01 土曜日
English
農水畜産業水産ニッスイ 養殖事業 短期養殖本マグロ拡大へ ブランド化・差別化図る
〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

ニッスイ 養殖事業 短期養殖本マグロ拡大へ ブランド化・差別化図る

ニッスイは、グループ企業のニッスイまぐろ(本社・長崎県佐世保市)において、通常の養殖に比べて養殖期間が短い「短期養殖本マグロ事業」を拡大する。2025年以降に漁獲規制の緩和が見込まれており、成魚から短期養殖した100㎏超の大型クロマグロでブランド化や差別化を図る。

養殖マグロの出荷実績に占める短期養殖の割合を現行の約20%から30年度に約55%まで高めたい考えだ。

ニッスイグループは長期ビジョン「Good Foods 2030」のもと、養殖事業で30年度に売上高1000億円(23年度846億円)、営業利益100億円(同41億円)を計画。海外・国内の双方でグローバルに多くの拠点を展開するが、谷内満執行役員水産事業副執行・養殖事業推進部管掌は「当社は養殖におけるフル・バリューチェーン(魚粉調達、飼料製造、養殖、加工、物流/流通、販売/マーケティング、サービス)を構築し、最大の強みとしている」ことを強調。成長マーケットに素早くアクセスして新たなチャンス獲得につなげるほか、為替変動・気候変動などのリスクを低減できるとする。

国内では主に3つの魚種に注力。サーモンは既存の境港、佐渡に加え、大槌・陸前高田を拠点に岩手三陸沿岸の開拓を推進していく。30年に国内サーモン事業の水揚げ重量を現行比約3倍の9000トンに引き上げる。

ブリ類は現状約1万トンから30年目標は約1万6000トンに設定。完全養殖「黒瀬ぶり」が欧州向けを中心に輸出を伸ばしているが、引き続き人工種苗の強化や沖合養殖による生産性の向上などに注力する。

グループで国内の養殖マグロ事業はニッスイまぐろが担う。既存のグループ企業、金子産業と西南水産の養殖マグロ事業を一本化して4月に発足し、10月1日から業務を開始した。統合のメリットは、近年顕著な自然環境の変化にも柔軟に対応できる体制づくり、本マグロ加工製品を金子産業唐津工場に集約し拡大、事業の一元管理による効率的な運用など。新会社は国内養殖マグロ市場でシェア約20%を有する。

今後は短期養殖本マグロ事業の拡大を目指す。通常の養殖は幼魚(0.5~3㎏)から成魚まで3~4年かかるが、短期養殖は採捕した成魚(80~120㎏)から6~9か月で出荷するため3大リスク(赤潮・台風・漁病)を軽減できることがポイント。また出荷時は通常の養殖マグロが50~70㎏に対し、短期養殖のマグロは100~150㎏と大型でブランド化や差別化も図れるという。

関連記事

インタビュー特集

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。

明星食品 新提案「麺の明星 主食麺宣言!」 4つの軸の袋麺アレンジで食事性アップ

明星食品は、こだわりの麺技術で開発した商品ラインアップを全面に押し出し、新たに「麺の明星 主食麺宣言!」と銘打ったプロモーションを大々的に展開している。

イチビキ 中村拓也社長 豆みそ・たまりNo.1の矜持を 人口減睨み業務用・海外強化

安永元年(1772年)創業の醸造・食品メーカー、イチビキ。今年6月20日付で同社社長に就いた中村拓也氏は、98年入社。

「大豆ミート」対談 マルコメ・日本製鋼所 次世代型食品へ課題と提言

健康志向が高まり、プラントベースフード(PBF)にも関心が集まる中、2023年9月に大豆ミートメーカー5社が発起人となり、「日本大豆ミート協会」が設立された。

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点