エースコックは、「スーパーカップ」「スープはるさめ」など主力6ブランドを中長期的な視点で強化していくとともに、「どこでもエースコック」をキーワードに新規チャネルへの展開にも注力している。
本紙のインタビューで村岡寛人社長は「主力ブランドは個性をさらに磨くことで地盤固めが進んできた。新たなチャレンジとして当社の独自素材が外食チェーンに採用されるケースも出ている」と手応えを語った。
地盤固め+新機軸商品
主力6ブランドとは大盛りカップ麺のパイオニア「スーパーカップ」、ヘルシー志向に応える「スープはるさめ」、健康的素材たっぷりの「わかめラーメン」、最後まで飲み干したくなる本格スープの「飲み干す一杯」、“もちもち真空仕立て麺”を搭載した「焼そばモッチッチ」、ワンタン入りの袋麺「ワンタンメン」を指す。いずれも市場で差別化された商品として存在感を発揮しており、直近も「スーパーカップ」と「スープはるさめ」の2大ブランドを中心に売れ行きは順調だ。
背景には長期的な視点に立ったブランド戦略がある。村岡社長によると、以前の同社は新商品の発売ありきで短期志向が強かったが、自身がマーケティング副本部長(19年3月就任)だった際に意識改革や体制の整備に着手。ブランドごとにビジョンに沿った中期計画を策定し、現在も運用を続けている。「腰を据えて戦略に取り組むことで、各ブランドのポジションが明確になってきた。それをベースに商品価値をさらに高めていきたい」。
地盤固めが軌道に乗ってきたことから、24年は新機軸商品も積極的に投入している。新ブランド「福福彩菜」は、ヘルシーな春雨を使用しながら、本格中華の味わいで満足感・幸福感も提供する。「四川風旨辛麻婆春雨」と「広東風濃い旨五目春雨」の2メニュー。袋麺では「(袋)わかめラーメンごま・しょうゆ」と「(袋)豚キムチ味ラーメン」を具材入り3食パックで商品化。カップ麺でおなじみの具材を添付し、袋麺でも手軽に楽しめるようにした。さらには麺以外へのチャレンジとして、米加工品を使った「具だくさんブタキムクッパ」「わかめごはんスープ ごま・しょうゆ」「ワンタンメン風雑炊」を相次ぎ投入、話題になっている。
回転寿司やテーマパークでも
国内即席麺市場の成熟化が指摘されて久しい中、村岡社長は「今後の食品業界はさらにボーダーレス化が進み、競合環境も激しくなってくる。既存のスーパーやコンビニはもちろんのこと、あらゆるシーンで当社商品が活躍できるようにしたい」との想いを持つ。
その一環で、近年は新規チャネルへの展開を推進。同社初の代替食品「まるでうに」は大手回転寿司チェーンに採用された。うに原料を一切使用せずに本物さながらの濃厚な味わいを再現している。また大手テーマパーク向けにオリジナルカップ麺を商品化。タイアップ先が求めるイメージに合わせたおいしさを追求し、ユニークなお土産として好評を得ている。
村岡社長は「これまでの先入観にとらわれず、付加価値のある商品開発に積極的にチャレンジしたい」と意気込む。