「食べて心も満たしてほしい」 新潟県中越地震から20年 小千谷市の企業が地元高校生とレトルト防災食を共同開発 阿部幸製菓

 阿部幸製菓は11月15日、新潟県立小千谷西高校の高校3年生と共同開発したレトルト防災食2種類を新潟県内で新発売した。

 商品の開発・販売を通じた地元・小千谷市への貢献が目的。同社は新潟県小千谷市に本社を構え柿の種をはじめ業務用米菓を製造している。

 「新潟県中越地震から20年が経った今年、小千谷市U・Iターン事業の一環として地震を経験していない高校生にも防災意識を高めてもらおうと、小千谷市西高校の3年生とともに防災食の開発に着手した」(阿部幸製菓)という。

 開発にあたっては、ローリングストック可能な食品であることと地元食材の使用をテーマに掲げ検討を進める。

 「生徒たちは地元食材に対する知識を深めるとともに、“被災した際にもおいしいものを食べて心を満たしてほしい”“大人から子どもまで一緒に食べられるものにしたい”など、心のケアの重要性も考えるようになった」と振り返る。

外装デザインは生徒が考案。裏面には共同開発をアピール - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
外装デザインは生徒が考案。裏面には共同開発をアピール

 外装のデザインは生徒が考案。中身開発は試作と試食を重ねて進められた。

 発売されたレトルト防災食は「ここ辛カレー」と「ぽっかスープ」の2種類。
 7月に開催した商品化を決定するコンペティションで、小千谷市長の宮崎悦男氏をはじめとした審査員と生徒の投票によって選ばれた。

 「ここ辛カレー」は、被災者の活力になることを志向し、具だくさんとピリ辛に仕立てられている。具材には枝豆、鶏肉のほか、小千谷産のさつまいも(紅はるか)を使用している。

 心身ともに温まってほしいとの想いを込めて開発されたのが「ぽっかスープ」。生姜入りの豆乳スープに魚沼産コシヒカリの米粉を入れることで濃厚でとろみのあるスープとなっている。