三菱食品の京谷裕社長は7日の第2四半期決算会見で、今期からスタートした中期経営計画「MS Vision2030」に沿って、成長戦略の取り組みを加速させる方針を示した。
同社の第2四半期連結決算は売上高1兆593億円(前年同期比1.1%増)、経常利益144億円(1.7%減)。売上高はCVSやディスカウント向けの取引が堅調、利益面では海外関連会社の一過性損失で経常微減となったが「(4期連続の最高益更新へ)計画通り順調に推移している」(京谷社長)とした。
中期計画「MS Vision2030」で掲げた成長戦略の取り組みでは、8月から基幹システム(MILAI)の刷新プロジェクトがスタート。3年間で約100億円を投じてクラウド化を進め、業務の効率化と高度化を実現するとともに、生成AIや機械学習の活用も含め、デジタル基盤強化を加速させる。
物流事業の強化では、ベスト・ロジスティクス・パートナーズ(BLP)を設立。来年4月の物流事業の分社化について、京谷社長は「これまで以上にスピード感を持って物流機能を強化していくため」と説明。従来の食品の枠を超えた消費財デマンドチェーンの創出に向けて、同業他社や非食品分野との協業も視野にサステナブルSCM構築に意欲を示した。
海外事業では、パートナー企業との協業を推進。米国では、イートアンドホールディングスと合弁会社を設立し、現地での外食事業に参画。来春には米国西海岸に1号店のオープンを予定しており、2030年までに二ケタ規模の出店を目指す。
欧州では、現地で日本食材の卸事業や小売・外食事業を展開する英国JFE社に出資。欧州は米国と並ぶ重要市場と位置づけ、現地に経営人材を派遣。国内メーカーの輸出支援など、「プレミアム市場である欧米市場での販路拡大を進める」とした。
また、7日の米国大統領選の結果を踏まえ、「ドル高・円安が予想され、国内の食品産業は一定の影響が避けられない」との見方を示したうえで、「コストプッシュ型の値上げと節約志向の高まりによる消費の二極化が進み、下期も先行き不透明な局面が予想される。国内外の事業環境の変化に注視していく」と語った。