日本スーパーマーケット協会(JSA)の岩崎高治会長(ライフコーポレーション社長)は「人手不足対策を進めるには、パートタイマーに根強く残る『103万円の壁』を大胆に引き上げる必要がある」と訴える。
「所得税の課税最低額(103万円)は長引くデフレで1995年から据え置かれてきた。しかし直近の物価上昇や最低賃金の大幅な引き上げで環境は変わった。これらを反映し住民税・所得税の課税最低額を引き上げることは短時間で働くパートタイマーの収入増で暮らしを支えるとともに消費喚起にもつながる」との考えを強調した。
協会では昨年から2度にわたりJSA加盟企業で働くパートタイマーにアンケートを実施。その結果、就労調整しているパートタイマーの80%が103万円の壁を意識していることが分かった。また有識者を交えて雇用と社会保険に関して検討を重ね、このほどスーパーマーケット業界における年金制度改革に関する提言をまとめた。
提言は
①社会保険制度は、働き方の変化に対応した「公立」で「中立的」で「簡素」な制度への改革を要望(被用者保険の対象で企業規模要件を撤廃すること)
②急激な物価上昇と大幅な最低賃金引き上げを反映した「住民税・所得税の課税最低額引き上げ」を要望
③就業調整の一因になっている企業や公務員の「配偶者手当」の見直し促進を要望
――の3点。
一方、岩崎会長は政府が最低賃金1500円への引き上げを掲げたことに触れ、「そうであるならば、なおさら『年収の壁』を壊さなければ人手不足に一層の拍車がかかる。制度の早急な見直しを望みたい」と語った。