セブン&アイホールディングスは、グローバルなコンビニ事業の成長戦略を加速させるべく、11日付で新設した中間持株会社「ヨーク・ホールディングス(ヨークHD)」がイトーヨーカ堂やヨークベニマルなどスーパーストア(SST)事業を統括する新体制へ移行する。ヨークHDの株主はセブン&アイ100%、代表取締役会長に伊藤順朗氏、代表取締役社長に石橋誠一郎氏が就任。今後、外部の戦略的パートナーの資本を入れた上で、25年度中に持分法適用会社化する計画。
10日にオンラインで開催した決算説明会の席上、セブン&アイの井阪隆一社長は「コンビニとSST事業は取り巻く環境の違いで成長ストーリーが異なってきた。今後はそれぞれで自律的な成長を目指していく。食品開発の協業体制は維持し、引き続きシナジーを追求する」と語った。
セブン&アイHDはコンビニ事業主体へ完全移行することに伴い、来年5月の株主総会をもって「7‐Eleven Corporation(仮)」に社名変更する予定。あわせてグローバルな事業成長を図る上でIFRS(国際会計基準)適用の準備を進め、最速で28年度から適用開始の見込み。
新設のヨークHDは、SST事業のイトーヨーカ堂、ヨークベニマル、シェルガーデン、ロフト、赤ちゃん本舗、セブン&アイ・フードシステムズなど関連性の高い31社を集約して統括する。
SST事業の現況について「経営改革は着実に進んでおり、効果も高まっている」(井阪社長)と強調。今上期のEBITDAはイトーヨーカ堂が前期比120・5%(84億円)、ヨークベニマルが102・5%(145億円)など順調に推移。ヨークHDとして25年度のEBITDA約1000億円(うちSST事業約850億円、専門店およびその他事業約150億円)の達成を視野に入れる。
戦略的パートナーの招へいは10月から検討開始。「われわれの知見だけでなく、様々な資源を持ったパートナーに参画してもらえたら。場合によっては複数社がコンソーシアムを組んで支援していただく可能性もあり得る」(井阪社長)とした。
一方、祖業のイトーヨーカ堂が直接経営から離れることについて、井阪社長は「2005年にセブン&アイHDが発足して以降、事業環境は大きく変化した。当社グループのコンビニ事業はいまや米国でシェア№1、日本で2万2000店を構え、さらにグローバルに成長している。対してSST事業の領域は国内に集中し、取り扱い品目や成長スピードもコンビニとは異なる。同じグループの中で資本を振り分けるとなると、後者には成長投資しづらい状況。社内で多くの議論を重ねたが、それぞれの事業が自律的に成長ストーリーを描き、必要に応じて関与しながらシナジーを追求する体制が最善との判断に至った」などと話した。