大丸松坂屋百貨店は11日、松坂屋名古屋店の大規模リニューアルについて概要を発表した。投資額は約63億円で、本館・北館の計8フロアが対象。リニューアル面積は約2万7000㎡。全館総面積の3割以上に及ぶ。24年11月から25年秋にかけて順次リニューアルオープンを予定。「次世代のマーケットニーズを捉えた、何度でも訪れたくなる百貨店を目指す」(大丸松坂屋百貨店・宗森耕二社長)。
改装対象フロアは、本館3~8階と北館の地下1階と6階。対象フロアにおける展開ブランド数は、新規89ブランドを含む211ブランド。新規ブランドのうち、東海地区初が49ブランド、国内初が2ブランドとなる。建築家の永山祐子氏を空間設計・デザインパートナーに起用し、独自性と居心地のよさを兼ね備えたアーティスティックな空間を提供する。
本館3階・4階では、約6割の店舗を入れ替えてラグジュアリーブランドを拡充。百貨店婦人服からの脱却を図る。本館8階は、フロアすべてをアート空間に改装し、絵画やオブジェなどを展示する。一つのフロアすべてがアート空間となるのは国内の百貨店では初の試み。今年5月に休園した屋上遊園は46年ぶりにリニューアル。アートをテーマにした空間として25年春に生まれ変わる。
北館地下1階の酒・レストランフロアは、希少なお酒が日本一集まる酒文化発信フロア『お酒の元につながりが生まれる場所』をコンセプトに全面刷新。酒売場は売場面積2.9倍、品揃え2.7倍に拡大。国内の百貨店で初の試みとなる和酒熟成庫を併設する。また、セミナーや情報発信を行う会員制サロンの新設も計画する。
リニューアル対象フロアの増収計画として、26年度には23年度比42%増(総額売上高ベース)を目標に掲げる。
松坂屋名古屋店は来年、現在の本館建設から100周年を迎えるが、「今回の大規模改装に加え、名古屋PARCO、錦三丁目に建設中のザ・ランドマーク名古屋栄といった近隣の魅力ある商業施設の集積によるエリアシナジーを追求。今まで来街のなかった方も呼び込み、エリア内の顧客回遊を促進することで街の賑わいを創出、魅力化を目指し、栄エリアの価値最大化を図る」(宗森社長)。