明治の三井基史執行役員グローバルフードソリューション事業本部長は、このほど行われた戦略説明会で、物流問題への対応について言及。既に実施している菓子やドライ食品に加え、この7月から賞味期限が短いチルド品・乳製品についても、卸店や量販店へ納品期限緩和とリードタイム確保に係る改善依頼を行っていると明らかにした。
今回の取り組みは、社会課題である食品ロスの削減、人手不足による物流問題などを背景に、産業の維持および製品の安定供給を目的としたもの。
「弊社だけでなく業界全体としての取り組みで進めている。現時点でおおむね理解をいただきつつある状況。いくつかの卸・量販店からは、具体的な対応時期を含めて決定していただいている。この動きは大きく加速していくことになるが、今後も実効力ある対応をていねいに行っていく」(三井本部長)。
直近の消費環境については、「6月に27か月ぶりの実質賃金増加という明るいニュースがあった一方、株価の乱高下や円安進行などの不透明感から、消費者の安定志向や節約志向はまだ続く」と見通した。消費者の生活防衛意識は依然として厳しい一方で、価格に見合う価値のある商品は高単価でも好調なことから、新たな市場創造に向けて、これまで以上に商品開発や食シーンの提案に取り組む方針。
コスト環境は、円安の影響やエネルギー・物流・資材コストの上昇で依然厳しい状況が続いている。輸入牛肉価格は、為替や米国の干ばつによる生産停滞の影響で、24年に入って大きくコストが上昇。米は猛暑による不作と外食需要の拡大で需要がひっ迫したことが第1四半期に大きく影響した。輸入原料チーズは横ばいかやや上昇、原料油脂も上昇の兆しがあることから、原料全体で今後の動きを注視していく。