加工食品菓子カルビー、北海道最大規模のじゃがいも貯蔵施設を運営 温暖化対策で冷蔵設備導入

カルビー、北海道最大規模のじゃがいも貯蔵施設を運営 温暖化対策で冷蔵設備導入

 カルビーポテト社は8月5日に「糠内(ぬかない)加工用馬鈴しょ集出荷貯蔵施設」(北海道中川郡幕別町)の運営を開始し、収穫が本格化するじゃがいもを受け入れている。

 貯蔵施設は1つの倉庫としては北海道最大規模の最大1万トンの貯蔵能力を持つ。幕別町の中心部に位置し生産者の輸送のしやすさにも配慮している。

 貯蔵施設ができるまで、収穫されたじゃがいもは、農協の貯蔵庫などに他の作物とともに貯蔵され、それらに入り切れない分は工場に直送されていた。

 9月5日、「じゃがいも収穫式」に臨んだ田崎一也社長は「貯蔵庫がないと作っても流通が難しい。今回、物凄く大きな貯蔵施設ができたことで、安心してじゃがいもを作ろうという方が増えている状況」と語る。

「糠内(ぬかない)加工用馬鈴しょ集出荷貯蔵施設」外観
「糠内(ぬかない)加工用馬鈴しょ集出荷貯蔵施設」外観

 倉庫内には、じゃがいもをコンテナに入れて貯蔵するコンテナ貯蔵庫が10室ある。1室あたりの貯蔵能力は最大1000トン。10室のうち5室には温暖化対策として冷蔵設備を導入している。

 冷蔵設備の導入については「北海道は夏場、夜になると気温が20℃以下に下がるのだが、昨年は下がらなかった。貯蔵に最適な温度は10℃台だが、これが今後難しくなってくるということで冷凍機(冷蔵設備)を導入した。せっかくいただいたじゃがいもをいい品質でお届けしようとすると温暖化対策への投資は欠かせない」と説明する。

トラックからバラ積みされたじゃがいもを受入れている様子
トラックからバラ積みされたじゃがいもを受入れている様子

 高温はじゃがいもの品質に悪影響を及ぼす。

 「高温だとじゃがいもが呼吸しにくくなり、澱粉から糖への変化が激しくなる。そうすると年明けの2月や3月に、工場で揚げたときに少し茶色になる。品質基準としては茶色ではなく、割と真っ白なポテトチップスを目指している」という。

 貯蔵施設には機械と人による選別システムを導入して生産者の負担軽減に貢献。

 貯蔵施設では、畑で収穫したじゃがいもを生産者が選別してコンテナに入れた状態での入荷に加えて、収穫したじゃがいもをトラックの荷台にバラ積みした状態での入荷にも対応し、後者が生産者の省力化につながっている。

ホッパーから選別機に流れるじゃがいも
ホッパーから選別機に流れるじゃがいも

 「やはりバラ(での入荷)を増やしていかないといけない。生産者の方も働き方が必要で、畑での労働時間を少なくするには一気に収穫して一気に貯蔵するという意味では、バラは本当に時短につながる」との考えを明らかにする。

 選別システムはバラでの入荷に対応。1日300トン程度の処理能力を持ち、間に25トンの収納能力を持つホッパーを導入したことでトラックのピストン輸送にを可能にしている。

 自動的に土塊や根などが取り除かれ、小玉じゃがいもと製品用じゃがいもを分別される。なお、小玉じゃがいもは澱粉やコロッケ用などに活用される。

 杉浦大斗(ひろと)幕別支所支所長は「最後は人の目で確認している。受け入れピークは9月中旬。1日に100台程度のトラックが入ってくる」と述べる。
貯蔵施設には来年の分まで貯蔵し、ここから各務原(かがみはら)工場(岐阜県)と湖南工場(滋賀県)に運ばれ主に「カルビーポテトチップス」や「じゃがりこ」の原料に使用される。

選別機の前で説明する杉浦大斗(ひろと)幕別支所支所長
選別機の前で説明する杉浦大斗(ひろと)幕別支所支所長

関連記事

インタビュー特集

Mizkan フルーティス刷新(後編) 「新・果実体験」を提供 リフレッシュしたい時に

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。家庭用では業務用で人気の「シャインマスカット」「あまおう」「白桃」を、家庭用・業務用の双方で「ざくろ」を新発売した。

Mizkanフルーティス刷新(前編) 果実のおいしさが主役の新製法 マーケティング本部 田中菜々美氏に聞く

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。

学生が育てるアーモンドの木 明日の社会へ価値循環 デルタインターナショナル×キャンポスブラザーズ

アーモンドの世界的産地である米カリフォルニア州でも、トップクラスの供給量を誇るキャンポスブラザーズ社。日本の販売総代理店を務めるデルタインターナショナルでは、学生の手でアーモンドの木を育てて商品化することを目指す玉川大学の...

原点は休憩中に見上げたキウイ 全国で食材発掘、生産者と企業つなぐ サッポロビールの地域創生事業

 明治9年(1876年)、北海道で新たな産業を興すべく設立された「開拓使麦酒醸造所」をルーツとするサッポロビール。創業150周年を迎える今も、その“開拓”の精神は息づく。ビール会社としての枠にとらわれない発想力を武器に、事業領域拡張の最前線で奮闘する人物に迫った。一次産業を担う各地の生産者と企業のバイヤーをつなぎ、農林水産物の需要創出をサポートするサッポロビールの地域創生事業。その原点は、外食企業のコンサルティングを手がける部署で九州の拠点に配属されていた、一人の担当者のひらめきだった。

カキ養殖の展望を聞く〈前編〉 “殻付き”市場拡大 環境変化と効率化に対応 シーパジャパン・吉本剛宏社長

瀬戸内海で養殖カキが甚大な被害を受け、生鮮市場だけでなく加工メーカーや流通にも影響が及んでいる。こうした中、従来の養殖方法とは異なるシングルシード養殖法が注目されている。