炭酸水に専用のミル型容器を使い“魔法のミスト”を1プッシュするだけで搾りたて果実のようなフレッシュな香りが楽しめる――。
このミル型容器がおりなす魔法のミストは、「Magic Mist(マジック ミスト)」と称するもの。
香気成分をミスト状に噴射(プッシュ)することで、細かい粒子が速く広く拡散する。
サントリー食品インターナショナルが新規事業の一環として、香りの効果に着目して約3年の開発期間を要して完成へと漕ぎつけた。
9月3日、発表会に登壇したSBFジャパンイノベーション開発事業部の坂本久美子氏は「サントリーで今まで全く取り組みがなかったカテゴリで、1からバリューチェーン全てを開発・設計した」と振り返る。
こうして完成した「マジック ミスト」について「飲料を味わう時代から体験する時代に変えていきたいというような思いで開発した。1プッシュするだけで、いつもの飲料が劇的に変わる魔法のようなミスト」と胸を張る。
使用用途は、炭酸水などの清涼飲料水に留まらず、ハイボールやレモンサワー、唐揚げ・カルパッチョ・サンドイッチなどの各種料理と幅広い。
ミル型容器の中にスプレーをセットして使用する。
スプレーの第1弾は「レモンフレーバースプレー」。レモンフレーバー人気や飲料との相性のよさなどを考慮して選ばれた。
レモン果実から抽出した成分を使用した天然香料がミストになって円錐形に噴射され、そのミストがグラスの内側に付着することで、飲む前から香りが楽しめる仕組みになっている。
「炭酸水にかけた場合、炭酸水の泡が香りを抱き込んで上がってくるようなところもある。飲んだ後でもフレッシュな果実の香りを感じられる」という。
「レモンフレーバースプレー」の内容量は10ml。1回のプッシュにより0.1ml使用することから1本は約100プッシュ分に相当する。
「レモンフレーバースプレー」にはアルコールが含まれており、ターゲットは食卓を彩りたい大人層となる。
開発にあたっては、香りの感じ方に着眼した。
「鼻から感じるオルソネーザル(立ち香)と、口に含んで飲み込んだときに感じるレトロネーザル(戻り香)の2つの嗅覚経路で香りを感じ取り口内に取り込むことで複雑味のある豊かな香りとして捉えられる」と説明する。
香りづけにおいて、生果実やスプレー容器のレモン調味料とは一線を画している点にも触れる。
「生果実は1個使い切るのが非常に大変で、果汁が出てくると食感が変わってしまう。ミル型容器は、おいしいものをさらにおいしく自分で一手間かけて仕上げる体験になる。スプレーとは香りの広がり方が全く異なる」と自信をのぞかせる。
香りへの生活者の関心の高まりに商機を見出す。
「食べ物に留まらず居住空間をどのような香りで設計するのかなど、生活のあらゆる場面で香りを心地よいものにしていこうという傾向を重視している」とみている。
「マジックミスト」は9月3日から同社オンラインストア限定で発売されている。