ビール酒造組合「業界の協調領域を追求」松山新会長 社会的・経済的メリットを語れるように

「ビール類などアルコール飲料業界は健康を害さない範囲の飲酒を前提に、社会的・経済的にどのようなメリットをわが国にもたらしているかを正々堂々と語っていけるようにできれば」と話すのは、8月1日付でビール酒造組合の会長代表理事に就任した松山一雄氏(アサヒビール社長)。「業界の公正な競争を大前提としつつ、これまで以上に踏み込んだ話し合いを通じ、ビールの魅力を高められるアイデアや物流をはじめサプライチェーンの最適化など可能な協調領域を探っていきたい」と語った。

このほど業界専門紙向けに記者会見を開催。冒頭、松山会長代表理事は自身がビール業界に転身した約6年前の心境として「人口動態の変化などを背景にビール類が20年以上のダウントレンドにあることは知っていたが、外から見てダイナミックな業界だと感じていた。しかし実際の内部が想像以上に閉塞感・悲観論に覆われていたことに驚いた」と述懐。今後については「人口減や少子高齢化が進み、数量ベースで劇的に成長するシナリオは描きづらい」とする。

その一方で、「ビール業界はまだまだ付加価値を向上できるし、海外でも競争していける実力がある。これまで取り組んできた大切なことをしっかり継続しながら、変えるべきことは大胆に変革することで、明るい中長期ビジョンも描けるのではないか」と展望した。

組合の活動では、アルコール関連問題に引き続き注力。「STOP!20歳未満飲酒防止プロジェクト」では、おなじみの黄色いロゴを使って店頭のほか、動画投稿サイトやWEBでも広く浸透を図る。また全国の中学校・高校を対象に20歳未満の飲酒防止にかかわるツールを提供。一連の効果もあってか、過去10年で中高生の飲酒率は大幅に低下(高3男子 12年16.1%→21年4.2%、高3女子 12年16・6%→21年2・9%)している。男性よりもアルコールの影響を受けやすい女性に向けては、オリジナルキャラクターを使った「飲み方カエルPROJECT」を展開。啓発動画やマンガで分かりやすく生活習慣病リスクの低減などを伝えている。

一方、今年2月に発出された「飲酒ガイドライン」の影響について、松山会長代表理事は「今のところ世間で過剰反応は見られない。純アルコール量の数値(1日当たり男性40g、女性20g)が独り歩きすることを危惧していたが、冷静に受け止められている印象。もしくはまだ関心や認知が十分に高まっていない可能性もある」とした。

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