ポッカサッポロフード&ビバレッジの「富良野ホップ炭酸水」は、ホップの味わいと香りに磨きをかけた独自価値が支持され、販売数量で前年比二ケタ増と伸長を続けている。
その好調要因について7月9日、取材に応じた鶴谷哲司マーケティング本部ブランドマネジメント部担当部長は、「ホップを前面に押し出したことにより、プレミアムビールなどビール好きの方に支持されている。価格競争になりがちな炭酸水市場でも、今までにないフレーバーの炭酸水として独自のポジションを取りつつある」と説明する。
支持拡大には、サンプリングを中心に、飲用体験を創出したことが寄与したとみている。
「ホップの独特でほかにはない味わいを体感していただくことが購入につながっている。リフレッシュシーンや休肝日などに向けた施策やターゲティングが狙い通りにできている」と語る。
乾杯のシーンを中心に働きかけ、新たに若年層の購入者も増加しているという。
「音楽フェスやアーティストの方と一緒に乾杯するシーンを創出したことで、20代を中心に若年層の新しいユーザーを獲得できている」。
SNS上で父の日向けのキャンペーンも行った。
「お父さんの体を気遣って炭酸水で乾杯、という内容でSNSのプロモーションを行った。ハレの日需要を取るのが難しい飲料水でも、特定のシーンで価値を伝えることができると気付いた」と振り返る。
今後もビールと親和性の高いイベントなどでの飲用体験を増やしていく。
「1月頃に飲んだ方が、炭酸の需要期である夏頃に思い出してケースで購入される、という例も見られる。『一度飲むとクセになる』ホップ独自の味わいがリピートにつながっていると考えられる。即効性があるコミュニケーションなどではなく、種まきが重要な商品と捉えている」とみている。
レモンなどの爽快感を強調したフレーバー炭酸水とは異なるアプローチで、秋以降も需要を獲得できると分析する。
「爽快感をうたうフレーバー炭酸水は、夏場と比較しどうしても秋冬は厳しい可能性が高い。リフレッシュシーンや休肝日のような需要も獲得できる味わいが強みになると考えている」と自信を見せる。