ルイボスティー飲料が存在感を高めている。無糖茶飲料の中で、緑茶や麦茶などと比べると市場規模は極めて小さいものの、各社で好調な動きがみられるほか、商品数が増加傾向にある。好調要因は、無糖・ノンカフェインという麦茶やブレンド茶などにも通じる基本的な価値に加えて、メーカーの企業努力もありルイボスティー独特の香りが受け入れられていることにあると思われる。
これらの要因から昨年から徐々に売場を賑わせているのが、サントリー食品インターナショナルの「GREEN DA・KA・RA やさしいルイボス」。ルイボスティーの既成概念を打ち破り好調に推移している。
「やさしいルイボス」の開発について、サントリーの井島隆信SBFジャパンブランドマーケティング本部課長は「ルイボスティー市場がここ10年ほど大きく伸びているところに着目した。ただ、ルイボスティーを飲まれている方からすると『特徴的な香りでリラックスできる』とのお声がある一方で、『ややクセがありそうだから飲みづらそう』というイメージを持たれて飲まれないお客様も結構多いと考えた」と振り返る。
この考えのもと、「GREEN DA・KA・RA」からルイボスティーを提案したことにより「『クセがありそう』というイメージが『やさしく、すっきりして飲みやすそう』というイメージに変わっていった」という。
もう一つの好調要因には、止渇ニーズを取り込んだ点にある。
「ルイボスティーには紅茶のようにリラックスして飲まれるイメージがある中で、麦茶やスポーツドリンクカテゴリーを展開している『GREEN DA・KA・RA』ブランドから発売したことで『ゴクゴク飲める』といった従来のルイボスティーにはみられないイメージを持っていただけているのも大きいと思っている」と語る。
初年度の2023年販売数量は100万ケースを突破。今年も好調を維持しブランドの成長に貢献。ブランド計の1-5月累計販売数量実績は前年比3%増の1千578万ケースを記録した。
伊藤園のルイボスティー飲料「ヘルシールイボスティー」(600㎖PET・500㎖PET)が2023年10月以降、好調に推移している。
前期(4月期)販売金額は前年比2・8%増。「24年に入っても好調に推移している」(伊藤園)という。
大きな販促をかけていないにもかかわらず好調である理由は「ノンカフェイン飲料の人気が高まっていると考えられる」との見方を示す。
PBで支持が広がっているのは、ファミリーマートの「ファミマル ルイボスティー」。600㎖と950㎖を合わせた前期(2月期)の店当たりの販売金額は1.3倍。主要購買層は20代から50代の女性だが、「お子さまやノンカフェインを好まれる男性のお客様にも好評」(ファミリーマート)という。
人気の理由は、ノンカフェインの無糖茶飲料であることに加えて、飲みやすい味わい、ナチュラルなパッケージデザイン、Afternoon Teaの監修であることの3点を挙げる。
監修については、「40年以上にわたり日本のティーカルチャーをリードしているAfternoon Tea TEAROOMの商品開発者さまに監修をお願いしており、本格的でありながらペットボトル飲料でも飲みやすい味わいとなっている」と胸を張る。
ルイボスティーへの関心の高まりを受け、アサヒ飲料の「十六茶」ブランドでもルイボスをブレンドした期間限定商品「美的十六茶」を6月18日から発売している。