コカ・コーラシステムは麦茶飲料ブランド「やかんの麦茶 from 爽健美茶」で、シンボルのやかんを前面に押し出して最需要期の夏場の需要を獲得していく。
7月から9月にかけて、全国6カ所で全高3m以上の巨大やかんカーを登場させたイベントを実施して「やかんの麦茶」計3万本の無料配布を予定している。
SNSでの情報拡散を図るべく、イベントの様子をSNS 投稿した人にはCMキャラクターの小芝風花さんのメッセージ入り「やかんの麦茶1本無料カード」をプレゼント。同カードは「Coke ON」対応自販機で「やかんの麦茶」と交換できるものとなっている。
関東甲信地方と東海地方の梅雨明けが発表され猛暑日を記録した7月18日、最初の会場である浅草寺・宝蔵門前(東京都台東区)では「やかんの麦茶」巨大やかんカー出発式が開催され、ゲストに招かれた小芝風花さんと友近さんが巨大やかんカーをお披露目した。
今回のイベントの狙いについて、会場で取材に応じた日本コカ・コーラの坪根秀史マーケティング本部止渇系無糖茶・機能性茶・紅茶事業部シニアブランドマネジャーは「昨年はゴクゴクおいしい麦茶を伝えてきたが、今年はより丁寧にやかんで煮出した『やかんの麦茶』ならではのおいしさを皆さんにお伝えしたい」と語る。
この考えのもと、パッケージを刷新して6月17日から発売している。
やかんのアイコンとやかんから注がれるグラスを中央に配置し、家庭的な布をモチーフとした背景にブランドカラーの浅葱色(あさぎいろ)を採用した。
パッケージの背景については「昨年までブランドを知ってもらうために暖簾をモチーフにしていたが、今年はご家庭にある台ふきなど身近な素材に変更した。麦茶としての素朴さや親しみやすさ、さらに心も潤してくれるところまでブランド価値を高めたいと考え家庭的なイメージを打ち出した」と説明する。
キャンペーンやコミュニケーションでは、おいしさの物性価値とともに家族とのつながりといった情緒的価値も伝えていく。
今年新たに掲げた“おかえり。麦茶冷えてるよ。”のメッセージには「“麦茶冷えてるよ。”と言われた瞬間においしい麦茶を想起していただくとともに、実家や親といった麦茶を作ってくれた方たちの思いも感じていただきたい」との思いを込めた。
情緒的価値訴求として、人気お笑い芸人マユリカの中谷さんをイラストレーターに起用したWEB 動画「実家への想い」篇を7月18日から公開している。
「家族愛や家族のつながりが上手く描かれていて『やかんの麦茶』の価値向上に上手く結びついてほしい」と期待を寄せる。
需要喚起策としては、最大10万円分のJTB 旅行券などが抽選で当たる大人気すごろくゲーム「桃太郎電鉄」とのコラボキャンペーン実施中。「やかんの麦茶」を購入してキャップ裏コードやパッケージ背面の2 次元コードから参加できるキャンペーンも 6 月から実施している。
麦茶飲料市場について坪根氏は「気温に影響され3月から4月前半にかけて出荷が落ち込んだが、上期全体でみると順調に推移している。人流回復によるものというよりも、一人当たりの飲用量が増えて市場が拡大している」との見方を示す。
この中で「やかんの麦茶」ブランドは、4月22日に発売開始した新商品「やかんの濃麦茶」の好調も後押しして「販売金額・販売数量の両方でシェアを伸ばしている」という。