イタリア大使館貿易促進部主催のイタリア産チーズ料理講習会が6月24日、服部栄養専門学校(東京・渋谷)で行われた。
食品・飲料の業界関係者約120人が参加し、NPO法人チーズプロフェッショナル協会名誉会長の本間るみ子氏による解説や、西口大輔シェフによる調理デモを通してイタリア産チーズの多様性や汎用性の高さを発信した。
ジャンルイジ・ベネデッティイタリア大使は「毎年多くの酪農製品がイタリアから日本に輸出されている。経済連携協定(EPA)は日本という重要な市場における推進力になったが、日本での素晴らしい成果はイタリア側の努力とともに、日本の高名な法人によるプロモーションによるところが大きい」などとし、引き続きイタリア製品の歴史や品質に対する知識向上に向けた啓蒙活動に取り組むとした。
イタリア大使館貿易のテレーザ・バルプ副部長は「イタリアには500種類を超えるチーズがあるが、多くは認知されておらず輸入もされていない。今回の講演が皆さまのチーズに関する興味や意欲を掻き立て、販売や商品力向上、新製品開発などにつながればいい」と期待した。
本間るみこ氏によれば、イタリア産チーズは日本で1964年の東京五輪から普及し始め、80年~90年代にかけての「イタ飯ブーム」、「ティラミスブーム」などを経て認知が高まった。92年に制定された「チーズの日」などを機に、ここ30年間で国内のチーズ消費量は大きく拡大。なかでもイタリア産チーズが果たした役割は大きかったという。
本間氏が「イタリアが生んだ最高傑作」と評するのが、マスカルポーネだ。生クリームで軽やかに仕上げた口当たりのよい特性から、パンに塗るほか、ティラミスなどの新たなチーズ文化をもたらした。「日本で一番流行した」と語るゴルゴンゾーラも、ブルーチーズでありながら食べやすい味わいが人気となり、イタリア料理を提供するレストランが増えるきっかけとなった。
講演の目玉となったグラーナ・パダーノは、イタリアでは冷蔵庫に欠かすことのできない食材で「キッチンハズバンド」とも呼ばれる。パルミジャーノ・レッジャーノと似たハードタイプのチーズだが、パルミジャーノが岩を砕くようにボロボロにしてつまむのに対し、グラーナ・パダーノは滑らかで削りやすく、スライサーで大量にスライスして料理に加える。
西口シェフは、グラーナ・パダーノを使ったミニピッツァやゴルゴンゾーラのムース、マスカルポーネのジェラートなど計7品の実演調理を通して、様々な表情をもつイタリア産チーズの魅力を発信した。