緑茶特有のアミノ酸に睡眠の質を高める効果があり、睡眠前に氷水出し緑茶の飲用が好適――。
伊藤園が7月1日開催した「氷水出し緑茶と睡眠に関するメディアセミナー」で、冒頭の事実が明らかにされた。
緑茶は高温で抽出すると、カテキンやカフェインが多く含まれる。一方、氷水で抽出すると、カフェインの量は少なくなる。緑茶特有のアミノ酸であるテアニンは、温度に関係なく抽出される。
医療法人RESMの理事長を務める白濱龍太郎氏は「緑茶に含まれるテアニンというアミノ酸成分は、脳の興奮を抑え神経を鎮静化する効果などがあり、睡眠の質を高めると考えられている」と説明する。
睡眠市場でテアニンは注目されており、有効性を示す試験結果も出ているという。
「健康な男性22人が6日間、就寝前にテアニン200mgを摂取した結果、寝つきや中途覚醒の改善の効果などが確認された」と述べる。
白濱氏は、カフェインの少ない氷水出し緑茶を作り、抽出中に腹式呼吸やストレッチを行ってから飲用するというルーティーンを続けることで、入眠しやすく睡眠の質向上が期待できる“夏の快眠ルーティーン”も紹介。
「ストレッチなど就寝前のルーティーンをつくることで、脳が睡眠の合図を認識し副交感神経が優位に切り替わりやすくなる」と語る。
テアニンは紅茶よりも日本茶に圧倒的に多く含まれていると指摘するのは、大妻女子大学の大森正司名誉教授。
「緑茶は日本で育てられたチャノキの葉を使うことが多く、紅茶は海外で育てられたチャノキの葉が使われることが多い。日本のチャノキは海外のものと異なり、肥料を多くやって育てられ、テアニンの含まれる量が多い」との見方を示す。
大森名誉教授によると、お茶に含まれるアミノ酸の半分以上はテアニンで、二番茶よりも一番茶に多く含まれおり、近縁種のツバキやサザンカには含まれていない特有の成分となる。
氷水出し緑茶は苦みや渋みが少ないため、子どもでも飲みやすいという。
伊藤園は今後、店頭で氷水出しの飲用を訴求していく。
伊藤園の吉田達也マーケティング本部リーフブランドグループブランドマネジャーは「代表的な成分であるカテキンを始め、テアニンも他の食品にはなかなか無い成分であり、健康に対する緑茶の可能性を非常に感じている。水出しは抽出が簡単で苦渋くならない点も特長。“緑茶が水で抽出できる”ということを知らないお客様も多いため、水出し緑茶のおいしさ、簡単さ、健康性をじわじわ世の中のお客様に広げていきたい」と意欲をのぞかせる。
「お~いお茶ミュージアム」でも、氷水出し緑茶の体験コンテンツを準備している。8月から予約受付を予定している。
セミナー内で、白濱氏は氷水出し緑茶の作り方を実演。以下のポイントに触れた。
――急須にティースプーン2杯(約4g)の茶葉を入れて水を90mlほど注ぎ氷を入れる。
――約5分抽出し、茶碗に注げば完成となる。
――急須が無い場合や、より手軽に作りたい場合は、氷水の入ったボトルに緑茶のティーバッグを入れても作ることができる。
――抽出時間は5分以上でも問題なく、冷蔵庫で一晩かけて抽出しておくのも手軽に飲めてお勧めとする。
――温めても成分は変わらないため、氷水出しの緑茶を電子レンジで加熱すればホットでも飲用できる。