日本ワイン「SUNTORY FROM FARM」 独自性磨き世界へ挑戦 固有品種「甲州」武器に

サントリーが22年から展開する日本ワインのブランド「SUNTORY FROM FARM」。100年以上続く祖業であるワイン事業で、世界に肩を並べる「ジャパニーズワイン」の実現へまい進する。

「世界へ挑戦するため、ものづくりとワイナリーを進化させる。他国の模倣ではなく私たちがつくるからこそのオリジナリティがあり、世界に肩を並べることができる日本ワインを、世界のお客様に愛していただくことがゴールだ」。5月14日の戦略発表会で、常務執行役員ワイン本部長の吉雄敬子氏が述べた。

その柱となるフラッグシップワインでは、日本固有のブドウ品種「甲州」を強化。山梨県内の自社管理農園で近年収穫量を着実に拡大する甲州は、30年までに昨年の6倍超への拡大を計画する。昨年は同社の甲州ワイン3種が国際コンクールで受賞するなど、世界的な評価も獲得しつつある。

今回は「FROM FARM」の中でも、同社「登美の丘ワイナリー」(山梨県)のフラッグシップ「登美」として初めて「甲州2022」を9月10日から発売する。

「日本のオリジナリティがあり、なおかつ世界に認められるワインを作るには『甲州』で良いものをつくることが大事。また日本の風土に合う甲州は、和食や日本の様々な食材に合うことも、食とのマリアージュが重要なワインにおいて力を入れる大きな理由だ」と吉雄氏は説明する。

登美の丘テロワールの表現へ挑戦を重ねてきた「登美 赤」からも、その歴史を象徴する品種「プティ・ヴェルド」を使った新商品を発売。欧州では補助品種との位置付けだが「登美の丘で栽培し続けてきて、非常に良いワインができると確信した」(吉雄氏)。

ワイナリーの進化にも力を入れる。

登美の丘の複雑な地形を最大限に生かすため、日当たりや水はけなど場所ごとの特徴に応じた50区画に分けて管理。異なる個性をもつブドウを各区画で最適な手法で育てることで、多様な魅力をもつワインの原酒づくりにつなげる狙いだ。

22年9月にリニューアルした登美の丘ワイナリーでは、つくり手が自ら「ものづくり」を伝える限定ツアーも実施予定。また、ワインの新たな魅力を知る商品やイベントも通じ、顧客との接点強化に取り組む。

昨年の同社ワイン販売実績は、市場を2ポイント上回る前年比102%。今年も4月まで101%と堅調だ。このうち日本ワインについては30年までに現在の約1.5倍となる10万ケースへの拡大を目指し、ものづくりと顧客接点の質を高める。