「食創会 ~新しい食品の創造・開発を奨める会~」(会長:小泉純一郎元内閣総理大臣)はこのほど都内で記者会見を開き、「第28回安藤百福賞」で最高賞の「大賞」を受賞した京都大学大学院医学研究科・教授の奥野恭史氏(理化学研究所計算科学研究センター・部門長)が登壇した。医療・創薬に関わるビッグデータや人工知能(AI)などを活用したデータサイエンス研究が「食」のウェルビーイングに繋がることを評価され、「今後は一般の方が利用しておいしさと健康を両立し、喜びを実感していただけるようにしたい」などと語った。
安藤百福賞は1996年に創設。後援は文部科学省、農林水産省。食科学の振興ならびに新しい食品の創造・開発に貢献する独創的な研究者、開発者およびベンチャー起業家を表彰してきた。大賞の選出は15例目。
会見の冒頭、食創会を主宰する安藤スポーツ・食文化振興財団の安藤宏基理事長(日清食品ホールディングス社長・CEO)は「ウェルビーイング社会の中で今回の研究は大きな一歩。国民の幸福度・健康度の高まりに大変役立つ」とあいさつ。
奥野教授は「従来はAIなどを活用し医療・創薬を専門に研究してきたが、今回の受賞で食と健康にも領域が広がった」と喜びを語り、「健康診断の結果をもとに疾病発症率を予測するAIを開発したが、最近の研究では個人ごとの健康状態にあわせた最適な予防プランや食生活も提案できるようにもなってきた」と取り組みを説明。
また食品メーカーに対しては「健康を保つために重要なのは幸せの度合い。そのためにはおいしい食事を摂ることが必須となる。食品メーカーはデータに基づき、健康的でおいしい製品を積極的に開発していただければ。われわれの研究もお役立ちできる」などと話した。
表彰式には奥野氏をはじめ、「優秀賞」を受賞した理化学研究所仁科加速器科学研究センターの阿部知子副センター長、久留米大学の児島将康分子生命科学研究所・教授、女子栄養大学の武見ゆかり教授(副学長)、若手研究者や中小企業の開発者を対象とした「発明発見奨励賞」の受賞者も出席。小泉純一郎会長から表彰状と副賞が贈られた。