ファミリーマートは、エリア戦略を推進して各地で異なるニーズにきめ細かく対応していく。
同社は、3月1日付で北日本・首都圏・中日本・近畿・西日本の地域代表を新設。地域代表は社長直轄の役職で、社長補佐として各エリアの情報収集や施策の実行につとめている。
今後はこの機能を強化していく。
12月4日取材に応じた細見研介社長は「来年は、地域代表の機能を少し強化しながら、もっと早く指示を出していく」と語る。
エリア戦略を推進する理由については、アフターコロナへの移行を挙げる。
「コロナの3年間は、世界中、日本全国で同じ問題に対処すればよかった。ポストコロナになった今度は、地区でどう対応していくかに問題意識を持たなければならない」との考えを明らかにする。
エリア戦略の推進にあたっては、大型デジタルサイネージ「FamilyMartVision」を中核とする店舗メディア化を強みに差別化を図っていく。
「オウンドメディアが武器となる。来年は地域単位のメディアとの連携の元年と考えている」と述べる。
店舗メディア化の肝は、デジタルサイネージで広告枠に留まらず番組枠を持つ点にある。
ファミリーマートと伊藤忠商事が2021年9月に設立した子会社のゲート・ワンがメディア事業を担い独自の番組を製作。番組枠を持つことで、来店客の注目率が上がり、注目率が上がることでメディアとしての価値を高めている。
ゲート・ワンは、同じくファミマグループ会社のデータ・ワンと連携して店舗メディア化事業を展開。
データ・ワンはデジタル広告事業を手掛け、小売業者間の購買データを活用したデジタル広告配信事業と広告代理店業を営み、20年の設立から実質2年で黒字化。検索データではなく購買データに基づくデータ分析を強みに業績を伸ばし、広告クライアント数は累計約150社に上る。
直近の状況については「年度末をめどにデジタルサイネージ設置店は1万店に上る予定で、視聴者数は1000万人を超える規模になる。店頭・アプリ・デジタルサイネージを連動させた企画をメーカーさまといくつも実施して想定以上の成果が出ている」と説明する。
地域貢献の要素を盛り込んだものとして、無人店舗を含めたサテライト店にも期待を寄せる。
「サテライト店は、先行者のメリットが出ている。コロナで一度閉鎖した社員食堂や学校の給食施設でコロナ前の状態に戻らないところが結構多く、そのようなところや市役所などからご依頼をいただき地域貢献の役割も大きい」とみている。
ファミリーマートは現在14都府県で無人決済システム店舗の実用化を推進している。これまでに大学や市役所、バスのロータリーの横などのスペースにも出店。
無人決済システムの認識率はトライ&エラーを経て現在96%強。「利用者数の多い店舗は認識しやすいように施設側がオフピークを設けるなど助け合いの国民性が非常に支えになっており、広がる余地は大きい」と期待を寄せる。