カルビーの「ポテトチップス コンソメパンチ」はなぜ「コンソメ味」ではなく「コンソメパンチ」と命名されたのか?

 カルビーの「ポテトチップス コンソメパンチ」は1978年11月、「ポテトチップス うすしお味」「同 のりしお」に次ぐ「ポテトチップス」3番目のフレーバーとして誕生した。

 なぜ「コンソメ味」ではなく「コンソメパンチ」と命名されたのか――。

 11月9日、「コンソメパンチ」発売45周年と「コンソメWパンチ」発売20周年を記念して開催された発表会で、新商品「ポテトチップス コンソメメガトンパンチ」とともに「コンソメパンチ」の歩みが紹介された。

 「コンソメパンチ」の商品名について、マーケティング本部スナック1部ポテトチップスチームの井上真里ブランドマネジャーは「パンチは当時の流行語で“パンチをきかす“などと言われ“元気がよい”“威勢がいい”という意味を持っていた」と説明する。

トークショーに臨むマーケティング本部スナック1部ポテトチップスチームの井上真里ブランドマネジャー(左)と、45年前に「コンソメパンチ」の開発を担当した阿紀雅敏さん - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
トークショーに臨むマーケティング本部スナック1部ポテトチップスチームの井上真里ブランドマネジャー(左)と、45年前に「コンソメパンチ」の開発を担当した阿紀雅敏さん

 これに対して「松尾さん(カルビー3代目社長の故・松尾雅彦氏)から、俳句や短歌の五・七の文字数が重要だと伺い、なるほどと感心した」と語るのは、45年前に「コンソメパンチ」の開発を担当した阿紀雅敏さん(元カルビー上級常務執行役員)。発表会に招かれ井上ブランドマネジャーとのトークショーに臨んだ。

 文字数について、井上ブランドマネジャーは「阿紀さんから聞くまで全然分かっていなかったが、カルビーのロングセラーをみると『フレンチサラダ』や最近少し伸びてきている『しあわせバタ~』などは七文字が多い」との気づきを得る。

 1978年の発売前後、後発メーカーだったカルビーは当時手薄だった関東エリアを開拓すべく、ポテトチップスの本場・アメリカで塩味に次いで人気のビーフ味に着目してフラッグシップ商品の開発に取りかかった。

 「ビーフ味でいいかというと、そうではなく、コンソメを持ってきたことが重要なポイント。当時専務だった松尾さんがフレンチレストランでコンソメスープを飲まれ、そこから着想を得た。私も後日、その店でコンソメスープを飲み、やはり日頃からいろいろな食経験をしていることが開発にとって大事だと感じた」と阿紀さんは述べる。

阿紀雅敏さん - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
阿紀雅敏さん

 現在発売している「コンソメパンチ」を構成する味わいの主なポイントは以下の3つ。

 ――肉と野菜の甘味と旨味を凝縮したスープ
 ――甘味と旨味を引き立てる秘伝のスパイス
 ――後味のキレをさらによくする隠し味の梅肉パウダー

 このうち、隠し味の梅肉パウダーは1978年11月の発売以降のリニューアルで加えられたものとなる。

 「“『コンソメパンチ』がピンチだよ”と言われた。ビーフの味がずっと続いて、それがリピート(連食)につながらなかったようで、そこでこれも松尾さんの発想でフリーズドライした梅肉を入れた。梅肉の酸味で肉のグッとくる旨味を一回切ることで“次もう1枚食べよう”となったのだと思う。やはりコンソメは調理感のあるものであるため梅肉を入れたことが重要だったのだとその時に感じた」と阿紀さんは振り返る。

井上ブランドマネジャー - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
井上ブランドマネジャー

 酸味を使って味を切り替える手法は今も受け継がれている。

 井上ブランドマネジャーは「『のりしお』には唐辛子が入っていて、それが隠し味となって、味を切るということにつながっていると考えている」と説明する。

 「コンソメパンチ」は改良を重ね2021年に原点回帰のリニューアルを実施し22年にRSPOマークを掲載。
 一方、変わらないものとしてはパッケージの色合いが挙げられる。モノクロからカラー印刷に移行した1990年代以降、クリーム色を基調にオレンジ色の文字や帯をデザインしている。