12 C
Tokyo
11.6 C
Osaka
2025 / 12 / 08 月曜日
ログイン
English
加工食品菓子カルビーの「ポテトチップス コンソメパンチ」はなぜ「コンソメ味」ではなく「コンソメパンチ」と命名されたのか?

カルビーの「ポテトチップス コンソメパンチ」はなぜ「コンソメ味」ではなく「コンソメパンチ」と命名されたのか?

 カルビーの「ポテトチップス コンソメパンチ」は1978年11月、「ポテトチップス うすしお味」「同 のりしお」に次ぐ「ポテトチップス」3番目のフレーバーとして誕生した。

 なぜ「コンソメ味」ではなく「コンソメパンチ」と命名されたのか――。

 11月9日、「コンソメパンチ」発売45周年と「コンソメWパンチ」発売20周年を記念して開催された発表会で、新商品「ポテトチップス コンソメメガトンパンチ」とともに「コンソメパンチ」の歩みが紹介された。

 「コンソメパンチ」の商品名について、マーケティング本部スナック1部ポテトチップスチームの井上真里ブランドマネジャーは「パンチは当時の流行語で“パンチをきかす“などと言われ“元気がよい”“威勢がいい”という意味を持っていた」と説明する。

トークショーに臨むマーケティング本部スナック1部ポテトチップスチームの井上真里ブランドマネジャー(左)と、45年前に「コンソメパンチ」の開発を担当した阿紀雅敏さん
トークショーに臨むマーケティング本部スナック1部ポテトチップスチームの井上真里ブランドマネジャー(左)と、45年前に「コンソメパンチ」の開発を担当した阿紀雅敏さん

 これに対して「松尾さん(カルビー3代目社長の故・松尾雅彦氏)から、俳句や短歌の五・七の文字数が重要だと伺い、なるほどと感心した」と語るのは、45年前に「コンソメパンチ」の開発を担当した阿紀雅敏さん(元カルビー上級常務執行役員)。発表会に招かれ井上ブランドマネジャーとのトークショーに臨んだ。

 文字数について、井上ブランドマネジャーは「阿紀さんから聞くまで全然分かっていなかったが、カルビーのロングセラーをみると『フレンチサラダ』や最近少し伸びてきている『しあわせバタ~』などは七文字が多い」との気づきを得る。

 1978年の発売前後、後発メーカーだったカルビーは当時手薄だった関東エリアを開拓すべく、ポテトチップスの本場・アメリカで塩味に次いで人気のビーフ味に着目してフラッグシップ商品の開発に取りかかった。

 「ビーフ味でいいかというと、そうではなく、コンソメを持ってきたことが重要なポイント。当時専務だった松尾さんがフレンチレストランでコンソメスープを飲まれ、そこから着想を得た。私も後日、その店でコンソメスープを飲み、やはり日頃からいろいろな食経験をしていることが開発にとって大事だと感じた」と阿紀さんは述べる。

阿紀雅敏さん
阿紀雅敏さん

 現在発売している「コンソメパンチ」を構成する味わいの主なポイントは以下の3つ。

 ――肉と野菜の甘味と旨味を凝縮したスープ
 ――甘味と旨味を引き立てる秘伝のスパイス
 ――後味のキレをさらによくする隠し味の梅肉パウダー

 このうち、隠し味の梅肉パウダーは1978年11月の発売以降のリニューアルで加えられたものとなる。

 「“『コンソメパンチ』がピンチだよ”と言われた。ビーフの味がずっと続いて、それがリピート(連食)につながらなかったようで、そこでこれも松尾さんの発想でフリーズドライした梅肉を入れた。梅肉の酸味で肉のグッとくる旨味を一回切ることで“次もう1枚食べよう”となったのだと思う。やはりコンソメは調理感のあるものであるため梅肉を入れたことが重要だったのだとその時に感じた」と阿紀さんは振り返る。

井上ブランドマネジャー
井上ブランドマネジャー

 酸味を使って味を切り替える手法は今も受け継がれている。

 井上ブランドマネジャーは「『のりしお』には唐辛子が入っていて、それが隠し味となって、味を切るということにつながっていると考えている」と説明する。

 「コンソメパンチ」は改良を重ね2021年に原点回帰のリニューアルを実施し22年にRSPOマークを掲載。
 一方、変わらないものとしてはパッケージの色合いが挙げられる。モノクロからカラー印刷に移行した1990年代以降、クリーム色を基調にオレンジ色の文字や帯をデザインしている。

関連記事

インタビュー特集

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。