明星食品は、アフターコロナの消費行動は二極化を経て5層に多様化しているとし、23年秋冬は既存品のさらなる品質向上に加え、新ブランド投入による「格安プレミアム志向」の深掘りなど、手薄な需要層の獲得にも動く。キーワードは「五重塔戦略」。高級品志向に応える新生「明星 麺神」や「明星 贅沢一平ちゃん夜店の焼そば」、格安プレミアム志向に応えるコスパ抜群の「明星 BIGだぜ! 一平ちゃん」などを発売する。発表会の席上、豊留昭浩社長は「コロナ禍以降は市場の先行きを予測しづらくなっているが、多様なニーズに応えられる万全の体制で臨みたい」と意気込みを語った。
冒頭、豊留社長は直近の販売動向を説明。「前3月期の売上収益は約7%増。価格改定を実施した環境下、『全麺改良』を旗印に全方位で新価格に見合った製品価値の向上を図った効果が大きい。23年度第1四半期も前期同様の好ペース。6月に2年連続となる価格改定を行ったが、『チャルメラ』『一平ちゃん夜店の焼そば』などの主力ブランドが牽引し、新商品『ロカボNOODLESおいしさプラス』が上乗せした」。
目下の市場環境は「コロナ禍で消費の二極化が細分化し、これまで大半を占めていた中級品志向のユーザーが高級品志向と低価格品志向に流れた。アフターコロナでは従来の『高級品志向』『レギュラー品志向』『低価格品志向』に『格安プレミアム志向』『超低価格品志向』を加え、『消費の5層』に対応していく必要がある」とした。
開発方針は木所敬雄執行役員マーケティング本部長が説明。具体的な商品ラインアップに触れながら、自身が命名したという「五重塔戦略」について「『消費の5層』をテーマにする中で奈良の法隆寺を思い出した。昨年、現地を訪問してその構造や歴史を学ぶ機会に恵まれたが、約1千300年前から五重塔を支えてきた秘密は『心柱(しんばしら)』にあるという。変化の激しい市場環境のもと、われわれにとっての『心柱』はイノベーションとマーケティングだ。あわせてブランディングコーポレーションであることを志向し、強いブランドの集合体を目指していく」。
独自技術に磨き 新生「麺神」誕生
発売3周年を迎える「明星 麺神」は、今秋に向け“新生”と銘打ち、独自技術で麺質を大幅にブラッシュアップする。現在の「麺密もっちり製法」を生かしながら、麺を3層にする「3層麺製法」と湿度などにも配慮した「乾燥方法」の組み合わせ(特許出願中)を追加。極太麺のもっちり食感はそのままに、表面になめらかなつるみを付与し、「お店品質」を具現化した。アイテムは袋麺が「豚骨醤油」「味噌」「鶏白湯」(1食・各税別188円)、カップ麺が「家系豚骨醤油」「肉野菜味噌」(同278円)。それぞれ極太麺に負けない濃厚な味わいのスープがよく絡む。
「明星 贅沢一平ちゃん夜店の焼そば」はシリーズ初のプレミアム商品。「一平ちゃん」らしさに配慮しながら、液体ソース1.5倍、からしマヨネーズ2.5倍などに増量し、食欲を刺激する贅沢な味わいに。年間の定番商品として育成する。税別271円。
量と質の両方を追求したコスパ抜群の2ブランドも新たに投入。「明星 BIGだぜ! 一平ちゃん」は「肉汁うどん」「背脂醤油ラーメン」など和風・中華で4品を展開。食べ応えのある麺とパンチの効いたスープが特長。「明星庵」は「きつねうどん 大盛」など3品。ボリューム感だけでなく液体つゆや別添の七味にもこだわった。2ブランドとも価格はレギュラーサイズと同等(税別236円)に設定。
超低価格品志向には、「明星 一杯満足」シリーズを立ち上げ、「しょうゆ味ヌードル」など2品を発売。税別130円ながら既存の「明星 でっせ」シリーズとともに、カップ麺の特売などで根強いニーズの二ケタ売価に対応する。