キッコーマンソイフーズは9月12日、大豆とアーモンドを原料にした豆乳飲料「豆乳飲料アーモンドPlus」と「同 砂糖不使用」の2品を新発売した。
アーモンドミルクやオーツ麦ミルクなど植物性飲料市場の拡大を受けた動きで、2品は大豆たんぱく質とコップ1杯(200ml)当たり1日分のビタミンEを含み、豆乳とアーモンドミルクの“ハイブリッド設計”に仕立てられている。
2品について、取材に応じた荻生康成執行役員マーケティング本部企画開発部長は「市場やお客様のニーズを捉えた商品であり、豆乳で培ってきた提供価値を再認識・再提案する商品でもある。大豆たんぱく質とビタミンEの2つが摂れることに意味を持たせており、豆乳の価値とアーモンドミルクの価値が合わさったもの」と説明する。
開発には、昨年9月放映の「林修の今でしょ!講座」(テレビ朝日系)で牛乳・豆乳・アーモンドミルクのそれぞれのよさが紹介されたことでアーモンドフレーバーの豆乳飲料がひときわ大きな伸びをみせたことが後押しした。
「アーモンドフレーバーの動きが『アーモンドPlus』を発売するきっかけにもなった。いろいろと調査をしてみると豆乳飲料のアーモンドフレーバーとアーモンドミルクの区別がついていない方が多いことが判明した。我々メーカーはカテゴリーや規格で考えがちだが、お客様は広く捉えられていてポジティブにいろいろなものを選択されていることが分かり、植物性ミルクの栄養的な価値を含めて再定義した」。
容量はアーモンドミルク市場の動きを受けて2品とも1Lサイズのみをラインアップ。
「アーモンドミルク市場では1Lが伸びていることから今回は200mlではなく1Lで提案していく。希望小売価格は税別360円で、植物性飲料としてのスタンダードラインの価格帯を目指していく」。
「アーモンドPlus」では豆乳の垣根を超えて植物性飲料の棚に挑む。
「植物性飲料として栄養・健康をしっかり提供する必要があると考えて開発した。豆乳の棚でもアーモンドミルクの棚でもよく、ある意味、次の植物性飲料市場を見据えた非常に力を入れている商品」と位置付けている。
「アーモンドPlus」の専用コミュニケーションは、ツイッターでフォロー&リツイートのプレゼントキャンペーンを10月31日まで展開。加えてYouTubeで専用広告を投下している。
下期(3月期)の豆乳全体施策としては、19年から秋冬シーズンに実施している、温めて飲む“ホッ豆乳”の施策を強化していく。
「“ホッ豆乳”のワードがSNSで使われはじめ“寒くなったらやってみよう”という想起はできている。単に温めて飲むことにおもしろさを感じていただくことと、豆乳を使ってつくる料理のバリエーションを増やしていくことを積極的に行っていきたい」と語る。
温めて飲む商品としては、8月22日に「豆乳飲料 ティラミス」と「豆乳飲料 どら焼き」の2品を新発売した。
2品について「予めパッケージに“やってみよう!ホッ豆乳”のアテンションをデザインして、売場でご購入いただくときにメッセージが目に飛び込むようにした。商品設計も、温めて飲んだときに“香りが少し立つ”とか“甘みが少し和らぐ”といった変化が感じられるようにした」と述べる。
豆乳飲料でアイス・ホットによって味が異なるというコミュニケーションは今回が初めて。「実は調製・無調整の“白もの”も温めると甘みが増す。このことはまだまだ伝えきれていないところ」という。
料理のバリエーションを増やす汎用性については「豆乳鍋が大きく、あとはシリアルに豆乳をかけるケースも増えている。これからの季節に向けては簡単調理でできるスープを提案していく」考えだ。
豆乳全般ではストックニーズの高まりなど消費行動の変化にも対応していく。
「ケース購買が物凄く増えている。冷蔵庫脇の棚にケースが積まれるといったケースがみられるようになり在庫する傾向が強まっている。ローリングストックをもう少し上手くお伝えできれば防災などの点からも購入につながるので継続して取り組んでいく。新型コロナウイルス感染症の陽性者の自宅療養向けにご採用いただいている事例もあり、常温保存可能な容器で提供する価値はあると思っている」との見方を示す。
豆乳(調製豆乳・無調整豆乳・豆乳飲料)市場は1-6月、牛乳や植物性飲料への流出などの影響で前年を下回り、キッコーマンソイフーズも市場とほぼ同じ動きとなった。
サブカテゴリー別では無調整豆乳が回復基調にある。「調製豆乳と豆乳飲料が外的要因で落ち込み、無調整豆乳を押さえながら成長に向かっていくことが課題」とみている。
調製豆乳市場が足踏みする中、同社のトクホ「特濃調製豆乳」は濃い味わいが支持されて好調を維持している。
豆乳以外の新領域としては「マカダミアミルク」や植物性たんぱく強化飲料に引き続き取り組んでいく。
なお、キッコーマンは昨年4月に豆乳事業をキッコーマンソイフーズに一本化。
「もともとキッコーマンソイフーズが製造を、キッコーマン飲料が企画・販売していたが、豆乳事業については意思決定のスピードを上げるため製販を一体にしてキッコーマンソイフーズの中で完結するようにした」という。