ドラッグストアの食品売上が拡大  最大カテゴリー調剤・ヘルスケアに迫る勢い 原材料高騰で価格訴求曲がり角 新たな品揃え模索

ドラッグストアの食品売上が拡大している。昨年のドラッグストアのカテゴリー別売上高は「調剤・ヘルスケア」が3割、「ビューティケア」が2割弱、「ホームケア」が2割強とされ、「食品・その他」は最大カテゴリー「調剤・ヘルスケア」の3割に迫る勢い。その構成比は年々上昇している。経産省の商業動態統計によると、昨年のドラッグストアの食品(健康食品を除く)の売上高は5年前に比べて約50%増加。直近7月の売上高は食品が8%増(2,069億円)、健康食品も8%増(224億円)と高い伸び率を達成した。

調剤薬局併設店が全店の3分の1に達し、「街の健康ハブステーション」を目指しているドラッグストア。コロナの影響によるマスクや消毒液、医薬品などで得た利益を食品の拡充に充て、「食品の品揃え強化によって目的来店者を増やす」(業界関係者)考えだ。しかし、今年は原材料の高騰に伴う食品の値上げラッシュにより対応は変化しそうだ。

かつてはスーパーやコンビニの定番商品である菓子や飲料、カップラーメンなどを安く販売することで来店頻度を引き上げ、医薬品や化粧品で利益を確保することが狙いだったが、原材料の高騰により従来の低価格を維持することは難しくなった。新たな食品の品揃えにより存在感を高めようと模索している。

食品・飲料メーカーは、こうした変化に応えようと成長するドラッグストアに焦点を定めて商品戦略を強化。去る8月に開催されたJAPANドラッグストアショーでも、その一端がうかがえた。メーカーの多くが環境やリサイクル、健康・機能性などに特化した商品により、SDGsやサスティナブル、エシカルをテーマに商品を提案。アサヒ飲料、アサヒグループ食品、味の素グループ(味の素、味の素AGF、J―オイルミルズ、ヤマキ)、大塚グループ(大塚製薬、大塚食品)、オハヨーバイオテクノロジーズ、カバヤ食品、カルビー、カンロ、キューサイ、カゴメ、キリンホールディングス、日清オイリオグループ、ポッカサッポロフード&ビバレッジ、明治、森永乳業、ロッテ、石光商事、加藤産業、石垣食品、山田養蜂園など各社が出展した。

会社方針でSDGsを掲げているアサヒ飲料は、PETボトル本体にラベルが貼られていないラベルレスボトルで環境配慮をアピール、J-オイルミルズは包装機能と環境対応を追求した紙パックの食用油「スマートグリーンパック」シリーズ、森永乳業はプロテイン粉末「タンパク生活」を展示して「始めましょう!あなたのタンパク生活」と啓発、大塚食品はヴィーガンやベジタリアンに支持されている「ゼロミート」シリーズや、100kcalのレトルト食品「マイサイズ」シリーズ、ヤマキは鰹節パワーによる減塩を訴求、カゴメは野菜摂取量が測定できる「ベジチェック」を披露、ポッカサッポロは顔のむくみ感を軽減する機能性表示食品「キレートレモンMUKUMI」、ロート製薬は成長期応援飲料「セノビック」、ファインは睡眠の質を高める「グリネル」、山本漢方製薬は「青汁 大麦若葉」、小林製薬は「ナイトミン眠る力」などを展示した。

「SDGsは、今や小学校の授業でも出てくるテーマ。子どもたちが大きくなれば意識が高まり、消費行動は変わるはず。ドラッグストアで販売する商品もサスティナブルやSDGs対応が求められている」(大塚食品)。「今まで食品はおいしければよかったが、同時に社会課題の解決が求められている」(食品メーカー)などと語っている。

日本チェーンドラッグストア協会では「社会的要請となっている健康維持の促進、健康寿命延伸の支援がドラッグストアに期待される重要テーマだと認識している」とし、今年の取り組みでは食と健康売場の構築を掲げ、機能性を訴求できる食品について店舗での商品構成の在り方や棚割り、表示内容などについて議論を重ね、実証実験を行っている。