森永乳業のアイスクリームが好調だ。前期は業界がほぼ前年並みで着地したところ同社は4%増、今期の7~8月も市況を大幅に上回って推移している。その要因が主力商品のコミュニケーション。フレーバー展開や品質の訴求だけでなく、ポップアップストアでのアレンジ体験やTwitterを使った話題作りなど、ピノやパルムの世界観を創造し消費者との共有に成功している。この秋も、商品だけでは作ることのできない消費者とのつながりを、パッケージや身近な喫食シーンを通して提案していく。
ピノは「6粒入りで色々な味を食べたい」という声に応え、04年以降毎年多くの限定フレーバーを展開し、ピノをアレンジして楽しめる専門店や体験型のイベント、パッケージの仕掛けなど、子どもから大人まで楽しめる様々な施策を行ってきた。今年6月からは新たに「たのしさの倍増・笑顔の連鎖」をテーマにした「ピノゲー」を開始。第1弾は、ノベルティ商品のフタ裏に印字されたクイズゲームや推理ゲームが楽しめる「フタ裏ゲーム」、第2弾はマルチの箱を組み合わせて、個包装の「ピノ」専用のガチャを楽しめる「ピノガチャ」を実施。ピノガチャは19年に初登場したが、今回はさらに本物のカプセルトイマシーンのようなデザインにリニューアルし、あそび心ある仕上がりとなっている。秋に公開予定の第3弾では、セガなど大手ゲームメーカーとコラボレーションしたゲームを展開予定だ。
大人向けの本格派アイスとして展開する「パルム」では、春のCMから独特の「はむっと食感」を継続して訴求してきたほか、主力の赤箱マルチ(チョコレート)以外のフレーバー系商品の認知度が低いことを受け、6月には「じゃない方パルム」を広告やTwitterを中心に訴求し話題を呼んだ。今秋は、8月にパルム「キャラメルパンプキン」とマルチの「安納芋」の2品を展開し、少し贅沢な大人向けのアイスクリームという商品コンセプトや、ゆったりとしたイメージに親和性のあるプロモーションを実施。「はむっと食感にうっとろ~り」と題し、抽選で1千86人に「NIPLUXアイリラックス」「ルルド マッサージクッションミニプロ」などが当たるキャンペーンを通して、リラックスタイムに家でゆっくりと食べるシーンを訴求する。
今年のお盆は好天候に恵まれたことや人流の回復で、大人数でシェアしたり親子でクラフト制作を楽しめるピノアソートなどマルチパックが好調に推移。今後も商品を身近に感じられるような施策を通し、おいしさだけではない商品独自のイメージをアピールする。