海外で増える植物性ミルクのアイス ロッテ・秋山氏がトレンド紹介 アイスクリーム産業振興会で講演

日本アイスクリーム産業振興会(桝村聡会長)の通常総会および懇親会、講演会がこのほど、東京・千代田区九段北の乳業会館で3年ぶりに開催され、講演会には過去最高の70人を超える参加者が受講した。

通常総会の議案は原案通り承認され、懇親会ではアイスクリームメーカーとコミュニケーションを図りながら懇親を深めた。特別講演会は日本アイスクリーム協会の消費拡大委員会を代表してロッテ中央研究所アイス研究部の秋山直哉部長が「最近のアイスクリーム事情」をテーマに講演。

秋山氏は「コロナの影響による行動変化」について、「おうちで過ごす時間を大切にしたいマインドが継続。長引くコロナの影響により健康への意識が高まりつつある」とし、買物における購入時重視点では「健康」が3位に浮上。キリンの糖質ゼロビールが過去最速2億本突破したことや、日清カップヌードルが過去最高の売上を更新したこと、味の素冷食の「ザ☆」シリーズが好調を持続していることなどを例に挙げ、「健康に配慮した商品や信頼のおける商品への消費が加速している」と語った。

トレンド情報として「安心できる商品や味にこだわった新ジャンル、おいしさを進化させたコラボ商品、懐かしさと新しさが融合した商品が市場を活性化。「これからの消費・生活トレンド」として「消費」は安心・安全志向の継続、「心のセルフケア」は在宅生活でストレスを溜めないセルフケア意識醸成、「ライフスタイル」はテレワークの定着を指摘した。

プラントベースフードの取り組みとして、「健康や環境配慮の高まりから、国内の植物性代替食品市場は10年間で約5倍に伸長した」とし、アイスクリームでも海外では大手メーカーにより植物性ミルクのアイスが増加。欧米のアイス市場の中で植物性ミルクのアイスは1千94億円(2021年)に達し、25年には1千552億円見込みとし、「継続して伸長していく」と見込んでいる。

ロッテでも3月21日から「クーリッシュGreen・バニラ」を一部チェーンで発売し、乳・卵不使用により体質上食べることができない層にアプローチ。植物性でも変わらないおいしさを追求し、新しい市場獲得に向けてチャレンジしている。

桝村聡会長(高砂香料工業社長)のあいさつ コロナの影響により講演会は3年ぶりの開催となり、過去最高となる70人を超える方に参加していただいた。業界にはさまざまな難しい問題が山積しているが、秋山さんの講演を通じて各社の業務の参考にしてほしい。

伊藤景一郎副会長(伊藤景パック産業社長)のあいさつ 今年はコロナ禍を前提として国際情勢の変化や円安、エネルギーコストの高騰など複雑多岐にわたる課題が山積し、今年ほどアイスクリーム産業を取り巻く環境変化が激しい年はない。こうした中で秋山さんのお話はアイスクリームビジネスに夢と希望を与えてくれた。