腸内フローラという言葉が一般にも知られるようになったのは2010年前後だったように記憶している。1899年にパスツール研究所がビフィズス菌を発見して以降、腸内フローラと健康の関係が注目されるようになった。
▼腸内細菌叢解析がヘルスケア分野のキートレンドになりそうだ。腸内ヘルスケアの市場規模は7千億円、うち細菌叢データ市場は10億円強と推定される。この分野はポテンシャルが大きく、活発な投資が行われている。
▼直近では日東薬品工業グループのNOSTERが細菌叢解析サービスを開始した。サイキンソーも検査処理能力を現在の2.5倍以上増やし、24年中には年間10万人分の解析を目指している。今月からは都内の新たなラボが稼働し、見学会では次世代シーケンサーなども披露した。
▼便に宿る腸内細菌叢をDNA検査しAI解析することで、体質や生活習慣、病気発症リスクを把握できるようになった。個々で特性が異なるビッグデータの利用価値は高い。貴重な個人情報だ。「便で体の調子が分かる」とは言われてきたが、便が先端分野の主役になる時代がくるとは思いもしなかった。