日本パレット協会はこのほど、都内で会見を開き、2024年問題をはじめとする物流の課題解決に向けて、関連業界と連携してレンタルパレットの利用促進や標準化推進に取り組む方針を示した。
協会がまとめた21年度パレット生産数量は5千953万枚(前年比3.4%減)、生産金額は1千659億円(3.3%増)。輸出入の回復が見られたが、コロナ禍で産業別の好不調や、パレットの原材料高騰などの影響もあり生産数量は2年連続のマイナス。種類別では半数を占める木製パレットが減少傾向の一方、プラスチックパレットは生産量1千603万枚(9.7%増、構成比26.9%)と伸長。プラパレはコロナ前の水準を上回り、構成比も調査開始以来初めて25%を超えた。
レンタルパレット保有数量は2千551万6千枚(5.3%増)。2024年問題を前に物流現場の効率化や環境負荷軽減、DX推進の流れが強まる中で、レンタルパレットへの関心は高く、保有数量はコロナ前の水準を上回った。
同協会の加納尚美会長(日本パレットレンタル社長)は「昨年閣議決定された総合物流施策大綱(21-25年度)では、荷役の効率化やデジタル技術を活用した情報共有など、企業間でのパレット輸送の重要性が増している。一貫パレチゼーション普及と標準化推進に向けて、関連団体と連携して社会課題解決に尽力していく」と語った。
協会は官民物流標準化懇談会の下に設置されたパレット標準化推進分科会に参画。パレット標準化では、積極的にパレットの利活用を検討する事業者に対して、11型パレット(1100×1100㎜)を推奨することが決議されており、未利用の事業者・業界へのパレット利用を呼びかけ、一貫パレチゼーションの普及につなげる。
また、アジアパレットシステム連盟(APSF)の会長国として、国際物流におけるパレチゼーション推進に向けて、各国が協力してロードマップを策定中。APSFでは11型および12型を標準パレットサイズとして循環させることで合意形成しており、パレット本体への関税撤廃などアジアでの国際物流におけるパレット推進に取り組んでいくとした。
加納会長は「2024年問題でパレット輸送への関心は高まっているが、海外に比べて日本の標準化は遅れている」と指摘。韓国では11型パレットを標準として普及率は5割、ヨーロッパは9割に達しているが、日本での11型の運用シェアは34%にとどまる。
「パレットサイズは業界ごとの輸送特性があるが、まずはパレット輸送が当たり前になるように非パレット事業者の利用促進に努めていく。今後パレット輸送の拡大が進む中で、運用面での整備も進める」と語った。
手積み手降ろし 長時間待機の要因に
ドライバーの時間外労働規制が適用となる2024年問題をひかえ、物流現場の人手不足が深刻な課題となっている。加工食品物流でもパレット化は進んでいるが、いまだ手荷役に頼っているカテゴリーも多く、ドライバーの長時間待機の要因にもなっている。
経産省の試算では、パレット化によるドライバーの附帯作業は日本全体で年間3億時間削減、その経済効果は5千億円超、パレット共同利用によるCO2削減効果は約3千500万tとされる。加工食品は長時間待機が多い業種とされ、その解決は待ったなしの状況だ。
同席した酒田義矢副会長(ユーピーアール社長)は「日本では5億枚のパレットが流通しているが、レンタルパレットのシェアは5%程度、今後さらに拡大していきたい。循環型社会を構築するうえで、レンタルパレットの役割は非常に大きい。従来は積載率の低下がネックとされてきたが、深刻化するドライバー不足を背景に、(軽量嵩高の)菓子や家庭用紙製品でもパレット標準化を検討する動きが広がっている」と語った。