元祖代替肉「こうや豆腐」 肉食感の秘密は凍結・冷凍熟成 研究で解明

こうや豆腐の製造工程において、機能性関与成分の一つ「レジスタントプロテイン」の生成と同時に、肉のような食感を生み出すことが最近の研究で分かった。食品の冷凍分野で先進的な研究を行う小林りか静岡県立大学食品栄養科学部助教と、こうや豆腐普及委員会が5月17日に発表した。

こうや豆腐の特徴的な製造方法として、豆腐を約3週間、凍結・低温熟成させる工程がある。凍結したこうや豆腐を低温熟成する際、熟成前期に豆腐の骨格中にあるごく微細な氷が解けて水を放つ。これによりこうや豆腐に含まれる大豆たんぱく質の一部が凝集するほか、固さが付与され、弾力のある肉のような食感を生み出していることが分かった。

発表する小林りか氏(静岡県立大学) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
発表する小林りか氏(静岡県立大学)

こうや豆腐には、体内の消化酵素で分解されにくく食物繊維様の生理機能を有するタンパク質「レジスタントプロテイン」が豊富に含まれている。その量は大豆以上に多いとされ、こうや豆腐の健康機能性の一つとして注目されている。

近年、食品市場では代替肉として大豆ミートが期待されているが、こうや豆腐は1200年前から続く「元祖代替肉」。こうや豆腐普及委員会では、この肉様の食感とともに、おいしく機能的でSDGsに貢献する食品として、今後も積極的にPRする考えを明らかにした。