アイスクリーム市場、4年連続の足踏み 牽引車に鮮度感薄れ不安定な天候に翻弄

今期の市販用アイスクリーム市場は1%弱程度の伸び、5千50億円前後での着地となる見込み。市場は17年までの10年間で3千500億円から5千億円へと急拡大したが、18年からの4年間足踏み状態が続くことになった。最需期となる7~9月の天候が3年続けて不安定なものとなり、加えて急成長を支えた牽引役の勢いに陰りが見られ、天候要因に左右されることが大きくなっている。

アイス市場の牽引車がコンビニのオリジナルアイスと、スーパーでの売れ筋アイスのフレーバー展開だった。定価販売が基本のコンビニでNBを売っても、EDLPや特売が基本のスーパーとは価格で太刀打ちできず、オリジナル性の高い品ぞろえで差別化を図るのがコンビニの基本戦略。「チョコモナカジャンボ」や「ジャイアントコーン」など、ばら売りが基本のノベルティの売価は、14年まではどれも120円(それ以前は100円)だった。コンビニの留型やオリジナルで価格の制約がなくなったメーカーは、売価に縛られることなく160~200円のオリジナルアイスを競って開発し、コンビニは改廃を基本とするマーチャンダイジングにより1か月単位でアイスを次々と投入、消費者は常に変わるアイス売場に惹かれていった。

スーパーでは「エッセル」「爽」などのブランドが確立され、バニラを軸にチョコやストロベリーはもちろん、ピスタチオなどもっと尖ったフレーバーも半期、あるいは四半期単位で導入していった。「エッセル」なら基本のバニラ、チョコ、抹茶とシーズンフレーバーを都度投入し、ブランド価値の向上とともにフレーバー展開で売場に活気をもたらした。

ただ、こうした成長エンジンも10年も回していけば当初の勢いは失われ、鮮度も落ちていく。そこに19年から連続して不安定な夏の天候が3年続いた。19年7月は8日連続で最高気温が25℃に届かない冷夏となり同月の前年比は23%減。まさか2年連続はないだろうと思った20年7月も梅雨前線が長期間停滞する梅雨寒となり前年をさらに5%ほど下回り、21年は暑い7月となったが8月が中旬以降オホーツク高気圧の勢力下に入り15%減となった。最需期中の最需期7~8月にこのマイナス幅は痛すぎる。「地球温暖化」と言われた頃はその恩恵を受けたこともあったが、「気候変動」と表現される時代になり、成長エンジンのパワーが低下したアイス業界は以前にも増して天気に翻弄されるようになっている。