迫る2024年問題 消費財業界で物流シェアへ「フィジカルインターネット」構築 政府がアクションプラン

経済産業省と国土交通省の「フィジカルインターネット実現会議」分科会・スーパーマーケット等WGは4日、2030年に向けた消費財(加工食品・日用雑貨)業界のフィジカルインターネット実現に向けたアクションプランをまとめた。

報告書では、消費財(加工食品・日用雑貨)サプライチェーンにおける2030年のあるべき姿として、「①メーカー・卸、卸・小売、小売店舗間の共同配送が進んでいる状態」「②帰り便の有効活用による車両相互活用が進んでいる状態」をゴールイメージに設定。これらを実現するために、商流・物流におけるコード体系および物流資材の標準化、データ共有による物流効率化、商慣習の見直しに向けて具体的なアクションプランを策定した。

フィジカルインターネットとは、トラックなどの輸送手段と倉庫のシェアリングによる稼働率向上と燃料消費量抑制によって、持続可能な社会を実現するための革新的な物流システムのこと。

物流業界では慢性的な人手不足とEC市場の拡大による需要増加で物流の需給逼迫とコスト上昇が続いている。24年にはトラックドライバーの時間外労働の上限規制が適用されることで、ドライバー不足がさらに深刻化し、「物流の2024年問題」と呼ばれる物流危機が懸念されている。

こうした中で、経産省と国交省は21年10月に「フィジカルインターネット実現会議」を立ち上げ、物流の維持・効率化に向けて、オールジャパンでフィジカルインターネット実現に向けた議論を進めてきた。

今回のアクションプランもその一つ。消費財(加工食品・日用雑貨)のフィジカルインターネット実現に向けて、製配販が連携して共同輸配送・共同拠点利用を促進することで、20年で40%程度にとどまっているトラックの積載率効率(重量ベース)を25年には60%、30年には70%を目指す方針だ。

アクションプラン推進にあたっては、メーカー・卸・小売の有力企業が加盟する「製・配・販連携協議会」において、「商品・物流におけるコード体系標準化WG」「物流資材の標準化および運用検討WG」「取引透明化に向けた商慣習検討WG」「データ共有による物流効率化検討WG」を新設。共同輸配送・共同拠点利用の推進に向けて、業界標準となる商品・事業所マスタなどデータ基盤の整備、外装表示・サイズ・パレットの標準化、商流・物流データの基盤構築に向けて、22年度から具体的な検討を開始する。

商慣習見直しでは現在、製配販連携協議会で議論が進んでいる納品期限1/2ルールへの見直し、加工食品の納品リードタイム延長などと並行して、新設するWGでは「物流コストの可視化、物流明細提示による取引価格の透明性」および「定番商品の発注適正化(発注単位・発注ロット)」「新商品・販促商品の発注適正化(リードタイム)」について検討、24年度には順次ルールに沿った運用への切り替えを目指す。

4つのWGではコード体系および物流資材の標準化を優先的に進め、商流・物流データの共有化を促進するとともに、「店着価格制」のような共同配送・共同拠点利用の阻害要因となる商慣習を見直し、各種ルール化を進めていく構えだ。