コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス(CCBJIH)の上期(1-6月)飲料事業の販売数量は、コロナ禍が痛手となり前年同期比11%減となった。同社はコロナ禍を受け、長期的な成長を見据えて人件費を中心に100億円以上のコスト削減を実施し、売上減による影響の一部を相殺。下期もコスト削減の取り組みを継続しつつ、先行き不透明なコロナ禍で左右される消費動向に迅速対応していく。
13日、決算発表したカリン・ドラガン社長は「われわれの役割は俊敏にトレンドに対応していくこと。オペレーションを変更し柔軟性を持たせてトレンドやチャンスを捉えていき、そのためにデジタル化を推進していく」と語った。
販売チャネル別では上期、自販機や外食、都市部のコンビニなどが足踏みした一方、EC(オンラインチャネル)での売上げが急増した。
これについては「新型コロナウイルスで新たに生まれた消費者トレンドはないと考えている。コロナで今までの消費者トレンドが加速したのであり、その一例にECの人気の高まりがある」とみている。
ECの好調ぶりについて、コカ・コーラボトラーズジャパン(CCBJI)のコスティン・マンドレア執行役員営業本部長兼エリア営業統括本部長兼西日本営業本部長は「新規購入者数が増え、われわれの数量全体の2%を占めるまでに拡大した。EC用のプロモーションを実行して人材もECに割いている」と説明した。
新興チャネルとしては宅配にも着目する。「出前館やウーバーイーツなどの使用量が増えていることから、われわれのマーケティングプランを再設定して、宅配需要をカバーするように営業部隊を再配置した。今後もトレンドを注視していく」という。
マーケティングは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020)の延期開催が決定したことで大幅な変更を余儀なくされ、上期売上減少の一因となった。
そうした中、延期になったことで経済的苦境に立たされているアスリートを支援すべく寄付プログラムのキャンペーンを6月15日に開始したところ、8月9日現在で約63万人が参加し累計寄付金額は約1千400万円に達した。
同キャンペーンは9月6日まで実施し、コカ・コーラ社製品のさらなる認知向上や売上げの向上も図っていく。
日本コカ・コーラの和佐高志チーフ・マーケティング・オフィサーは今後のマーケティングの方向性について「コロナの影響でこれまでにない消費者の意識の変化や行動の変化が起こっており、マーケティングプランもこの変化に柔軟に対応していく」と語り、既に起こっている変化として、家庭内需要の増加と肥満対策や免疫を中心とした健康志向の高まりを挙げた。
「家での時間が圧倒的に多くなっている。テレワークもあれば、休暇をとってもなかなか遠出できない環境にあり、家の中の需要をどのようにして刈り取るかが大きな課題になってくる」との見方を示し、各チャネル独自のやり方でアプローチしていく。
健康志向については「家での時間が多くなることで、運動量が減り体重が増加している人が増えおり、そういう意味ではローカロリー・ゼロカロリー製品も重要で、今回、『コカ・コーラ ゼロ』をリニューアル発売する」と述べた。
「コカ・コーラ ゼロ」は、味わいとパッケージを5年ぶりにフルリニューアルして8月31日に発売。味わいは「特に後味を改良することに成功し『コカ・コーラ』らしい味わいと、さらにすっきりとした味わいを楽しんでいただくことができる」と胸を張る。
「コカ・コーラ ゼロ」のラインアップには、350㎖PETと700㎖PETの新容量に加えて家庭内需要を掘り起こしていく。
今年1月には350㎖PETと700㎖PETの「コカ・コーラ」を東京エリア(東京都、神奈川県、、埼玉県)のスーパーマーケット、ドラッグストア、ディスカウントストアで先行販売したところ「『コカ・コーラ』ブランド全体の売上げに寄与した」。
そのほか健康系商品では、免疫機能がある素材を使った新商品の開発も予想される。「家の中にずっといると健康をすごく気にするようになり、体力を温存して免疫をつけておくことは大きなトレンドになると考えている」との見方を示した。
外食が減り自炊意識の高まりを受けた取り組みとしては、「綾鷹」で8月17日から「豊かな食卓キャンペーン」を実施し「TVCMから店頭活動まで一貫した包括的な活動を展開していく」。
日本コカ・コーラの調べによると「食事と一緒に」のモーメント(ある行動をしたいと思う瞬間)は緑茶飲料(緑茶)市場の21%を占めるという。
新しい生活様式に伴い、それに適した容量も探る。「コンビニに投入した950㎖PETの『爽健美茶』と『綾鷹』がかなりよいパフォーマンスとなっている。今後はこれを加速していく」(コスティン・マンドレア執行役員)考えだ。