氷糖商戦開幕 好転維持して令和へ “いちご酢”紹介で2月倍増

令和最初の氷糖商戦が開幕した。需要の大半が梅酒向け、梅シロップ向けなので和歌山などの各産地から青梅が出荷される5月下旬から6月末までが最盛期となる。昨年は3連敗(3年減)からの快勝(約9%増)となり年間出荷量も1万5千tを回復。また、今2月にテレビで「いちご酢」(いちご+食酢+氷糖)が紹介されると2倍弱の販売量となり、本商戦前の景気づけにもなった。

砂糖は平成で約26%減少したが、氷糖は1万5千t前後から1万8千tを維持している。梅酒、梅シロップ需要は漸減傾向と見られているが、それ以外の業務用や梅以外の果実向け需要が拡大したと思われる。

大健闘の平成時代から令和の初戦が開始されたが、まず青梅の生育状況は昨年並みとなっており特段の不作情報はない。これから定期的に雨が降れば果実が大きくなり立派な青梅が売場に並ぶことになる。

昨年は記録的な酷暑となる前兆が5月頃からあり、気温が高いために商戦の前倒しが予想され、実際にそうなったが終盤戦も延長され結果的に長い販売期間で存分に戦うことができた。今夏も昨年同様の酷暑となるかどうか。ちなみに昨冬は暖冬で海藻類が極度の不振となった。そうした予測しづらい天候と売場を睨みながらの商戦になるだろう。

また、弾みをつける出来事もあった。2月放映のテレビ番組で「いちご酢」が紹介された。高血圧、中性脂肪、コレステロール、便秘症状に効果が期待できると解説。作り方は簡単で食酢にいちごと氷砂糖を漬けるだけ。梅酒作りとほぼ同じ要領だ。また、瓶に入れて漬ける様子が鮮やかで“インスタ映え”の評判を得てSNSで拡大。おかげで2月のオフシーズンだった氷糖販売が2倍弱の売れ行き(中日本氷糖)になるなど特需もあった。

もともと氷糖組合ではゆずや金柑を使った氷糖漬けをPRしてきたが、インスタではいちご以外にもレモン、キウイなどさまざまな果実を漬ける様子も紹介されている。今後も梅酒需要が多くを占めるだろうが、果実別の漬け込み瓶の鮮やかさなど、作る過程をゆっくり楽しめることに気づいた新たな消費者の獲得も期待できる流れだ。飛躍の令和になるか、年間消費を占う梅酒向け商戦がスタートした。