2025年の夏のコーヒーのトレンドは、止渇性と嗜好性を両立したフレーバーアイスコーヒーになると予想する――。こう語るのは、全日本コーヒー商工組合連合会(J.C.Q.A.)認定のコーヒー鑑定士であり、キーコーヒーのマーケティング本部市場戦略部市場戦略チーム主幹の藤田靖弘氏。このほど、メディア向け発表会が開催された。
藤田氏が注目するフレーバーアイスコーヒーとは、アイスコーヒーにフレーバーシロップを加えたもの。海外を中心に、日本でも広がりつつあるという。
トレンド予想の背景には、猛暑・多様性・映えの3つのキーワードを挙げる。
近年の猛暑により、アイスコーヒーの需要は年々伸長している。フレーバーアイスコーヒーは、やや粘度のあるシロップを加えていることで「通常のアイスコーヒーよりも潤いが喉にとどまってくれる感覚があり、渇きを潤してくれる効果がある」と説明する。
多様性については、産地にこだわったシングルオリジンのコーヒーやカフェインレスコーヒーが人気を博していることなどから深耕余地を見込む。
フレーバーアイスコーヒーでは、豊富な組み合わせを強みとする。同じコーヒーでも、シロップの種類や組み合わせによって味や香りの変化を楽しめる。
味わいだけでなく、「カフェに行くときに、SNSなどで写真を見てお店を選ぶ方も多い」ことから映えも注目のポイントになり、その点でもフレーバーアイスコーヒーは優位性があると指摘する。
シロップはコーヒーよりも比重が重いため、グラスに注ぐと2層に分かれる。さらにミルクを加えると、下から順にシロップ、ミルク、コーヒーという3層構造になる。
「シロップの種類によっても重さが異なるため、2種類のシロップとコーヒーで3層にしたり、上にミントなどをトッピングしたりすると、美しい見た目のコーヒーになる」と述べる。

藤田氏が推奨する、アイスコーヒーに2種類のシロップを組み合わせたレシピは以下の3つ。
▽キャラメル、バニラのシロップ(フラッペやアフォガードのような味わい)
▽オレンジ、ホワイトチョコレートのシロップ(オレンジピールのチョコレートのような味わい)
▽バナナ、ピーチのシロップ(ミックスジュースのような味わい)
「コーヒーとシロップの組み合わせやコーヒーの種類、淹れ方によって無限の味わいの可能性がある。かき氷用のシロップなどでも代用できるため、お好みのシロップやコーヒーを組み合わせて、ご家庭でもフレーバーアイスコーヒーを楽しんでいただきたい」と語る。
同社は今夏に向けて、業務用で販売しているニュージーランド産のフレーバーシロップ「SHOTT(ショット)」を使ったフレーバーアイスコーヒーの提案を強化していく。
「現在、『ショット』を使用したフレーバーアイスコーヒーを採用されているカフェなどが3店舗、導入予定の店舗が十数店舗ある。見た目が美しいため、写真を撮られた方によって自然と広まることが見込まれる。当社のSNSでの情報発信も予定している」と力を込める。
「ショット」は、キーコーヒー初の直輸入製品で、2023年から業務用市場で販売している。
北愛夢SCM本部購買部購買チーム主任は「現在は約2400店舗でお取り扱いいただいており、順調に拡大してきている」と語る。

競合のシロップとの差別化ポイントは、高品質なサトウキビを使用し人工着色料・香料・甘味料不使用で自然素材だけでできている点や独自製造プロセスによるおいしさにある。
「自然由来の味わいを楽しめる点が好評。あるホテルの方にはとても気に入っていただき、『宿泊されたお客様にもシロップを販売できないか』とお問い合わせをいただいたこともある」という。
なお、コーヒー鑑定士とは、JCQAによって認定された高難易度の資格。生豆の選定や品質管理、商品設計などコーヒーに関する全般的な知識と技術が高いレベルで求められ、認定者は2024年4月時点で約50人。
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