7.6 C
Tokyo
7.4 C
Osaka
2026 / 02 / 11 水曜日
ログイン
English
加工食品漬物和歌山、梅の降雹被害47億円超 “傷果”の価値づくり急務

和歌山、梅の降雹被害47億円超 “傷果”の価値づくり急務

梅の全国的な不作に見舞われた2024年から1年、降雹による2年連続の不作が不可避となってきた。梅生産量第1位の和歌山県では、主力品種「南高」の未成熟花が昨年の半数ほどと例年通りで、一時は良好な作柄が期待された。

だが、4月6、11、14日に強い寒気が流れ込み、3度にわたって紀南地域に降雹。落果や雹傷などの被害を受けた。和歌山県の発表によると、主要産地の田辺市とみなべ町を始め、計9市町村で4,300ヘクタール、47億7,832万9,000円の被害となった。

梅生産第2位で、「白加賀」を主力品種とする群馬県も、和歌山県と同様の経過をたどっている。同月11日とその前後に3度、主要産地である高崎市などに降雹。JA全農ぐんまによると、同月23~25日に実施した着果調査では3割以上の果実に傷がみられたとのことだ。

雹傷自体は味や香りに影響ないものの、果実の成長に合わせて傷も広がっていくことから、見た目への影響は大きい。梅の等級はA級、B級、C級、格外に分けられるが、雹傷を受けた梅は、「雹傷果」「傷果」などと呼ばれ格外扱いとなり価格がA級の3分の1~5分の1ほどに落ちる。昨年のような大凶作では、数少ないA級品の価格高騰で10分の1以下になることも。傷からの病原菌侵入を防ぐため、消毒の実施が必要になる場合があるなど、農家への負担も増加する。多くの農家は不作に備えて農業保険に加入しているが、前年度の収入に応じて掛金が決定するため、収入減が続くと受け取れる保険金の額も減少する。

生産者を守るためにメーカーは商品の価格改定を実施せざるを得ない状況だ。だが、紀州の梅加工メーカーでは昨秋から今春にかけて20~25%の値上げを実施しており、度重なる値上げによる消費者離れが懸念される。

今年も不作となると少ない国産原料を複数の加工業者が争うことになるが、必然的に資金力のある大規模メーカーに集中し、小規模メーカーは原料を入荷できなくなる。そうなると経営悪化から倒産や大手メーカーへのM&Aが進み、メーカー数減少で製品が画一化、紀州ブランド価値の低下を招く恐れがある。紀州では多数の小規模メーカーが独自性のある商品の開発に取り組んだことで、梅という一つの素材から様々な商品が誕生。市場拡大し紀州梅ブランドを確立した背景がある。ブランド価値を、そして一大産地を守るためには、各社が安定経営できるような土壌づくりをし、会社の数を減らさずに産業を継続していかなければならない。

令和に入って凶作はすでに2度起きている(同2年、6年)。気候変動も進んでいる以上、救済措置ではなく雹傷果の価値向上を含め、持続可能な農業生産を検討していかなければならない。梅酒や梅ジュースなどに加工する場合、果皮の傷は問題にならない。梅干やカリカリ梅でも日常消費であれば何ら支障はない。産地保全には雹傷果の価値向上が必須だ。行政・業界が一体となり、消費者に「傷があってもおいしい梅」の理解を促す取り組みが待たれる。

関連記事

インタビュー特集

学生が育てるアーモンドの木 明日の社会へ価値循環 デルタインターナショナル×キャンポスブラザーズ

アーモンドの世界的産地である米カリフォルニア州でも、トップクラスの供給量を誇るキャンポスブラザーズ社。日本の販売総代理店を務めるデルタインターナショナルでは、学生の手でアーモンドの木を育てて商品化することを目指す玉川大学の...

原点は休憩中に見上げたキウイ 全国で食材発掘、生産者と企業つなぐ サッポロビールの地域創生事業

 明治9年(1876年)、北海道で新たな産業を興すべく設立された「開拓使麦酒醸造所」をルーツとするサッポロビール。創業150周年を迎える今も、その“開拓”の精神は息づく。ビール会社としての枠にとらわれない発想力を武器に、事業領域拡張の最前線で奮闘する人物に迫った。一次産業を担う各地の生産者と企業のバイヤーをつなぎ、農林水産物の需要創出をサポートするサッポロビールの地域創生事業。その原点は、外食企業のコンサルティングを手がける部署で九州の拠点に配属されていた、一人の担当者のひらめきだった。

カキ養殖の展望を聞く〈前編〉 “殻付き”市場拡大 環境変化と効率化に対応 シーパジャパン・吉本剛宏社長

瀬戸内海で養殖カキが甚大な被害を受け、生鮮市場だけでなく加工メーカーや流通にも影響が及んでいる。こうした中、従来の養殖方法とは異なるシングルシード養殖法が注目されている。

繋げる、繋げる、繋げる たこ焼きコミュニケーション足掛かりに TKO・木本武宏さんが次のフェーズへ

STUDIO TAMUROはお笑いコンビ「TKO」木本武宏さんの活動拠点。木下さんの実妹・大岡真裕美さんが代表を務める「オフィスTAMURO」が運営し、トークライブや、YouTube番組作成スタジオとして利用してきた。昨年5月からは新たな活動として、毎月3日だけ営業する「たこ焼き店」がスタートした。

SST=“サミットの仕事が楽しい”へ 新たな競争軸を作る 服部哲也社長

――中期経営計画の進捗はいかがですか。― 服部 「良い×強い=最強」という言葉を掲げた中期経営計画「頂(イタダキ)2025」は、最終年度を1年延長して26年度までとした。