ブルボンが将来に向け最も注視する分野はバイオ 新素材の基礎研究や疾病予防に関わる先端医療研究に着手

 関東大震災で地方への菓子供給が全面ストップしたことを受けて “地方にも菓子の量産工場を”との決意のもと、大震災から約1年後の1924年11月、新潟県柏崎(市制施行は1940年)で創業したブルボン(当時・北日本製菓)。地震など自然災害への危機意識を常に持ちつつ自然との調和を重視して千年の大計を描く。

 変化の激しい世情を受けて、吉田康社長がいま最も注視する分野がバイオ。

 「デジタル、グリーンの次はバイオが来ると考えている。エネルギー・食料・コミュニケーションがライフスタイルの中で大きい3つの要素であり、この3つの要素が全て変わりつつあり生活そのものを変える事態を引き起こすことが予想されるため、常にバイオのことを研究しなければならない」との考えを明らかにする。

 ブルボンは2006年の信州大学との共同研究を皮切りに、エネルギーになる栄養素の中で最も重要な糖をテーマに研究をしている。

 以降、糖の研究で得た知見を基に独自の細胞増殖制御技術を開発。その独自技術を用いて開発した再生医療分野向け培養液は、1990年設立したグループ会社のブルボン再生医科学研究所で販売している。

 食と健康については、先端研究所で薬食未病の考えに基づいて新素材の機能性評価やメカニズム解明などの基礎研究に取り組んでいる。

 疾病予防に関わる先端医療研究も大学研究機関などと共同して進めている。

 「これからは、寿命が尽きるギリギリまで健康な状態でいることが求められ、間違いなく食品企業は健康、生命、医療など近い部分を一緒にやらざるを得なくなる」との見方を示す。

 吉田社長は、日進月歩で進むAI技術にも着目する。

 「生成AIが今までとは異なる本格的な発展段階となり、それにどう対処するかというのも喫緊の課題であるし、ビッグデータの管理やシステムの管理も課題と捉えている」と語る。

 これらの諸課題に対応するためにも「とことん考え抜くことが大事」と説く。

 「宇宙との響働(きょうどう)という言葉で説明している。モノをポンと叩くと目には見えないが波動が流れる。とことん考え抜いて脳を活性化させることによって、スーパーカミオカンデが電子の100万分の1より軽いとされるニュートリノをキャッチできるのと同じように、『ひらめき』として天から啓示が得られ名案が浮かぶと私は信じている」と述べる。