大阪屋ショップは富山県を中心に北陸・東海地区に53店舗を展開する。昨年は、次世代型店として、新店から店舗外観や制服を一新し、売場は「主食・主菜強化」とした新ストアフォーマットを導入。新規エリアでは中京地区に初出店し、24年6月期は増収増益で着地した。今年度は、好評の新フォーマット店を既存店に順次導入するほか、中京地区では2号店、3号店を計画し、グループ1000億円体制を見据える。尾﨑弘明社長に話を聞いた。
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――24年6月期決算について。
「グループ連結売上高が10.7%増の935億円で、ストア売上高は4.5%増の811億円。主な新店効果では、23年6月末開設の愛知県の江南店と、同年11月開設の富山県の射水店が約8か月分、24年4月下旬開設の石川県の小松店が約2か月分のプラス効果があった」
――既存店売上高は。
「前年比で100%を少し割った。これは、新フォーマット店として開設した射水店は、NSC(ネバフッド型ショッピングセンター)業態『アイタウン射水』内の開設で、広域からの集客があり射水店は好調だが、その分近隣店が自社競合の影響を受けた。また、同店商圏内の太閤山店を閉店している」
――新店の状況は。
「昨年から『主食・主菜強化』を主に、生鮮・デリカ強化型の新フォーマット店として売場面積800坪タイプと600坪タイプを構築した。射水店は約900坪なので前者型。小松店は約650坪なので後者型となる」
「射水店はおかげさまで好調だ。主食強化として、例えば精肉売場は『焼肉』『ステーキ』『しゃぶしゃぶ』『すき焼き』などの主力メニューで専門店並みの品揃えを実現。魚屋の寿司の強化のほか、ドライ・日配もパワーカテゴリーを選定し、幅広い品揃えを実施した。直近8月単月の売上高は2億8000万円。年商33~34億円を見込む」
「23年6月に愛知県江南市に中京1号店として開設した江南店も順調だ。居抜き出店による500坪の売場なので、生鮮とデリカの構成比をあえて6割に高め、低い構成比のグロサリーはEDLPで展開した。ただ開設当初、グロサリーの支持が得られず、EDLPは4か月目にやり直した。それ以降は順調で、年商は当初計画を上回る25~26億円を見込む」
「小松店は当社で最も西の店舗で、小松市の南加賀地区は初出店となる。地域が違えば食文化も異なるので、MDは金沢とも変わってくる。新規エリアは、13か月営業すると見えてくるものがあるので、引き続き柔軟に対応していく」
――24年7月からの今年度方針について。
「①新事業エリアのドミナント出店②新ストアフォーマットの既存店への水平展開③新基幹システムの活用と機能向上④商品開発・仕入調達・物流再構築⑤グループ事業1000億円超を支える経営体制――の5本柱で進めていく」
「新事業エリアは愛知と岐阜の中京地区でドミナント展開を強化する。2号店は今秋、岐阜県各務原市に居抜き出店し、3号店は同県関市に新設する。各務原店からは江南店、関店(仮称)いずれも車で20分ほど。われわれは大手のようなブランド力はないので、基本のドミナント戦略を着実に展開していく。各務原店の周辺にはオープンまでに6回の折り込みチラシを入れる予定で、8月下旬に第1弾を投入した。北陸出身を訴求し、近隣スーパーとどう違うのかをお伝えしていく」