大ブレイクの予兆 伊藤園「おいしく大豆イソフラボン 黒豆茶」 前期82%増、広告なしで絶好調

伊藤園の「おいしく大豆イソフラボン 黒豆茶」(以下、黒豆茶)が広告宣伝せずにじわりと支持され、製品名の変更とパッケージを大きく刷新した2022年秋以降、大ブレイクの兆しをみせ始めた。

前期(4月期)は数量ベースで前年比82%増とほぼ倍増となった。

「2022年秋からは、ずっと1.5倍から2倍のペースで毎月伸び続けている」と振り返るのは、同社のマーケティング本部麦茶・紅茶・健康茶ブランドグループブランドマネジャーの黒岡雅康氏。

同社は2014年にティーバッグで黒豆茶を発売し、2018年にドリンクタイプの「伝承の健康茶 黒豆茶」を発売。その後リニューアルを重ね、首都圏の店舗を中心に売上げが拡大して、2019年~2023年度の年平均成長率は68%となった。

潮目が大きく変わったのは、パッケージを刷新し製品名を現行の「おいしく大豆イソフラボン 黒豆茶」に商品名を改めた2022年秋。

売れ行きが格段によくなり、売れ筋の嗅覚を研ぎ澄ました営業の社員が積極的に売場づくりに取り組むようになり勢いを加速させる。

「動きがいいことに気付いた営業が、昨年5月頃にいち早く露出を増やす売り方をし、一気に固定客がつき始め絶好調になった。自販機での導入率もかなり高い」という。

大ブレイクへの手応えを得て今年、製品認知度を一気に引き上げるべく、3月18日に同商品初のTVCMを放映開始した。

高垣麗子さんが出演するTVCM - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
高垣麗子さんが出演するTVCM

TVCMは、主要顧客層の40~50代をコミュニケーションターゲットに絞り込み、ファッションモデルの高垣麗子さんを起用。高垣さんが「大豆イソフラボンといえば?」と投げかけ、「黒豆茶で大豆イソフラボン」というメッセージを伝えるQ&A方式に仕立てられている。

CM放映に伴いパッケージを刷新。味わいを想起させる柔らかいデザインへと磨きをかけた。

その結果、「40~50代の女性の飲用者が伸び、導入率も上がってきている」との手応えを得る。

今後は、ユーザー側が自ら情報発信する場の創出に取り組む。

「SNS上に『黒豆茶』の画像やコメントを投稿していただくようなキャンペーンを実施する。これにより、売り場で初めて『黒豆茶』を見た方がネットで検索した際に、色々な方に飲まれていると思って買っていただけるようにする。ターゲット層の方に、『黒豆茶』がいいと知っていただく機会を継続的に創出していく」とコミュニケーションを担当するマーケティング本部広告宣伝部デジタルコミュニケーション課課長の横山佳史氏は述べる。

「黒豆茶」が支持される一番のポイントは、1本(500㎖)当たり7~20㎎の大豆イソフラボンを配合している中身設計だと分析する。

伊藤園の黒岡雅康氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
伊藤園の黒岡雅康氏

「他社とは異なり、パッケージに『大豆イソフラボン』と記している点が独自の強み。大豆イソフラボンがフックになり、美容や健康に関心の高い女性が手に取って『初めて飲んだけれどおいしかった』とリピーターになってくださっている」と黒岡氏は説明する。

美容や健康に対する関心だけでなく、甘さや香ばしさといった味わいへの高い評価もリピートを後押ししている。

味わいについては「原料と製造にこだわっている。香ばしい香りと甘い味わいのある光黒種の黒豆を使用しており、豆そのものと粉末にしたものを組み合わせて製造することで、独特の味わいを作っている」と胸を張る。

今後は引き続き、40~50代の女性層にターゲットを絞り、量販店チャネルに注力してトライアルを促す。

「これまでも、ノンカフェイン飲料のコーナーや女性比率の高い飲料のコーナー、ドリンクとティーバッグを連動させたコーナーを提案してきた。今年の夏場は、ノンカフェイン飲料というところを切り口にして売っていきたい。9月6日の黒の日や、黒豆は縁起物のため正月、豆と関連して節分など、いろいろなものと絡めながら、しっかりと露出していきたい」と意欲をのぞかせる。