フルタ製菓は今期(3月期)、12年連続の売上拡大に向けて、ファミリーチョコレート・ポケット菓子・チョコエッグ・焼き菓子の4本柱に加えて、業務用チョコレート事業と2022年にグループ入りした杉本屋製菓の事業に注力する。
4月26日、取材に応じた古田盛彦社長は「今期は65期であることから『65(ろくごー)大作戦』を遂行していく。4本柱と業務用チョコ・杉本屋製菓の6つで乗り切っていく」と意欲をのぞかせる。
今期売上高は、フルタ製菓単体で前年比11%増の250億円、杉本屋製菓を加えたグループ計で11%増の280億円を計画。インフレによる節約志向の高まりやカカオ豆高騰を主因とするコストアップの厳しい環境下で攻めの姿勢を崩さない。
「今取り組んでいる路線を着実に実行していくことに加えて、中長期もしくは俯瞰的に考えると、やはりある程度の成長が必要になる。社会全体がインフレ傾向に向かっていくため、現状維持では間違いなくシュリンクしてしまう。この点が過去30年間との一番の違い」と危機感をあらわにする。
この考えの下、売上拡大に引き続き注力するとともに利益成長をより意識していく。
「数量(売上高)と金額(利益)の両方が必要。特にわれわれが販売している商品は金額だけおいかけると少しおかしくなってしまう。物量が伴わないとお客様に価値を認めていただけず、流通さまからのご要望にもある程度の生産能力がないと対応できない」と語る。
インフレやコストアップ傾向に加えて、日本国内が亜熱帯化しチョコの大敵とされる「暑さ」も懸念材料に挙げる。
フルタ製菓においても、昨年8、9月の猛暑が業績の足を引っ張った。特に東日本で需要が減退し、北海道では「運べない」という問題が浮上した。
「札幌の物流業者さまはどこも同じかと思うが、冷凍車の用意はあるものの、保冷車を必要としていなかった。それが昨年はこれまで経験したことのない暑さに見舞われ、保冷車でないと運べない状態に陥った」と振り返る。
暑さについては、業務用チョコ事業を強化していくことにより家庭用商品の需要減を補填していく。
業務用チョコは主にアイスクリーム用の専用チョコを手掛ける。
「アイスに通常のチョコを使うと固くなりすぎてしまうことから、融点を少し下げる必要がある。当社は業務用専用ラインを持ち幅広いニーズに対応できる。業務用のアイスクリーム業界が非常に伸びていることから、設備投資を検討している」と説明する。
杉本屋製菓への設備投資も検討する。杉本屋製菓の「クレヨンしんちゃんシールグミ」や羊羹の引き合いが強まり供給が綱渡りになっていることが背景にある。
販売網では杉本屋製菓のシナジー創出に取り組む。
「杉本屋製菓の商品をフルタ製菓の販路で売っていく一方、フルタ製菓のビスケットなどを杉本屋製菓の販路で売っていくことを考えている」と述べる。
なお、前期(3月期)売上高はフルタ製菓単体で前々期比6%増の225億円、グループ計で251億円に達し11年連続の売上拡大を記録した。