サントリー食品インターナショナルは「BOSS」ブランドをオーストラリア・ニュージーランド・タイ・ベトナムなどで各国に合わせた中味・パッケージを採用して展開している。
同社は、2024年から2026年までの新・中期経営計画を策定し、コーヒー・ティー・エナジードリンクをグローバル展開の戦略カテゴリーと位置づける。
新・中計では23年を起点に、売上収益で一桁台半ば、営業利益で一桁台後半のCAGR(年平均成長率)を掲げ、営業利益率は26年までに10%以上を目指す。
新たにフリーキャッシュフローの目標も設定し、26年度には過去最高となる1400億円強のキャッシュ創出を計画する。
15日発表した小野真紀子社長は「真のグローバル飲料企業として質の高い成長を目指し、意欲的な中計を達成するために、ブランド戦略・事業構造改革・DEI・サステナビリティの4つの重要な戦略テーマを掲げ、積極的に事業展開していく」と意欲をのぞかせる。
このうちブランド戦略は、日本・APAC(アジア)・欧州・豪州・米州の全リージョンで推進し各展開エリアで市場を上回る成長を目指す。
23-26年のCAGRは、日本2%、APAC9%、欧州5%、米州5%を計画。
日本は、グローバル展開のハブ機能としての役割も担う。
「成長のポテンシャルは海外のほうが高いと思っており、新中計では海外に期待している。日本も安定成長を狙っていく一方、これまで培ってきたマーケティングや多様な技術開発といったベストプラクティスを海外の様々なビジネスに共有しグループ全体で活用していきたい」と語る。
日本特有なものとしては、変化する消費者の嗜好に対応したスピーディーな商品開発・リニューアル・イノベーションを挙げる。
「そういったこと(スピーディーな商品開発など)を海外ではそんなにしていなかったが、21年に初めてフランスの『Oasis』というブランドに取り入れ、他のブランドにも広げていく」という。
志向する真のグローバル飲料企業とは、グローバル展開の戦略カテゴリーに加えて、ローカルブランドを強みとする企業像となる。
「他社とは異なり各国・各地域でユニークなローカルブランドを持っており、それを上手く活用して成長につなげていきたい。加えて、海外と日本のシナジーをもっと生み出していきたい。日本のベストプラクティスを海外に、海外の様々な知見を日本に取り入れ、双方向で共有することで真のグローバル飲料企業にしていく」と述べる。
新・中計ではオーガニック成長に加えて成長投資も3000億円から6000億円を計画。
M&Aついては「基本的には新たなマーケットに出ていくことを優先的に考えているが、既存マーケットでも何かしら大きく変革できるようなアイデアがあれば検討していく」。
日本・海外において、既存設備の維持・改善のための投資とともに、戦略的な設備投資を強化していく。
日本では、「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」(長野県大町市)の新ラインが5月から稼働することに加え、将来的な安定供給・物流問題への対応を目的として「サントリプロダクツ高砂工場」(兵庫県高砂市)のライン増設も計画している。
海外については、オーストラリアにおける新工場立ち上げに加え、ベトナム、タイ、フランス、米州において、ライン増設などの生産能力増強によるサプライチェーン強化に積極的に取り組んでいく。
なお前中計(21-23年)のCAGRは、売上収益6%、営業利益8%。23年の営業利益率は9%。
前期(12月期)連結業績は売上収益が9.7%増(為替中立5.7%増)の1兆5917億円、営業利益が1.5%増(為替中立3.6%減)1417億円。営業利益は22年度以降の厳しいコスト環境が影響した。