加工食品即席麺・即席食品日清食品 安藤徳隆社長 マーケティング力で需要創造 24年は「ラ王」「カレーメシ」「完全メシ」に注力

日清食品 安藤徳隆社長 マーケティング力で需要創造 24年は「ラ王」「カレーメシ」「完全メシ」に注力

「食品業界は成熟産業と言われて久しいが、マーケティング力で新たな需要を創造し、持続的な成長を図っていくことは可能だ。当社はかねてより注力するブランディング経営が奏功し、24年3月通期の業績は増収増益の見込み。売上は9年連続プラス成長を達成できそうだ」と話すのは日清食品の安藤徳隆社長。

「主力の即席麺は初めて2年連続の価格改定に踏み切ったものの、依然として1食当たりのコストパフォーマンスが高い。加えて、当社が得意とするユニークなブランドコミュニケーションを積極的に展開。インフレ下においても市場を活性化できた」と手応えを語る。

24年は、社内スローガン「100年ブランドカンパニーへの挑戦」のもと「カップヌードル」「日清のどん兵衛」などロングセラーの販売強化を図るとともに、「『日清ラ王』『日清カレーメシ』『完全メシ』の3ブランドによる需要創造を推進。新たな施策にもチャレンジする」との意気込みだ。

今期のマーケティングで注力しているのは①店頭エンタメ化②ブランドの世界観の拡大の2点。

①では、スーパーの売場を「ヴィレッジヴァンガードのワクワクする雑多感」や「スクープを報じるスポーツ紙」などのテーマで賑やかに演出。消費者の購買意欲を刺激し、実施店の販売は大きく伸長したという。「当社ならではの企画が好評。『店頭エンタメ化』を実施する小売業は22年比で約1・4倍に増えた」。

②はテレビCMやSNSを中心に展開。多くの企画が話題を呼んだなかでも、特に酷暑となった昨年の夏に「カップヌードル シーフードヌードル」を自虐気味にアピールするCMが「動画の再生回数(約2千500万回)など『カップヌードル』ブランド史上最高レベルの反響を獲得し、前年比107%の販売実績を達成。若年層だけでなく幅広い年代に支持されたことも特徴的」。

「カップヌードル」ブランドは7期連続、「日清のどん兵衛」ブランドは9期連続で過去最高売上を達成する見通し。

24年は、袋麺「日清ラ王」シリーズの強化を検討中。「王道・本格・上質などのブランドイメージを生かしながら、新たなチャレンジでマーケットを活性化させたい」。

好調な「日清カレーメシ」の成長を加速させる。すでに年間売上100億円を達成し、直近も約120%ペースであることから、次の目標として「26年までに200億円ブランド」を設定。安藤社長は「味の評価とリピート率が高く、まだまだ成長の余地がある。店頭露出を広げて拡販に弾みをつけたい」と意欲をのぞかせる。

「完全メシ」は、直近の累計出荷数が1千900万食を突破した。24年は常温帯・冷凍帯を中心にラインアップをさらに充実させる。また社員食堂への提供や小売業向けデリカなど協業も推進。新規事業の「最適化栄養食」として、あらゆる視点でタッチポイントを広げていく。「われわれが掲げているコンセプトは人びとをより健康に、よりハッピーにすること。日本における新しい食習慣として根づくように事業を育成したい」と展望する。

一方、ロングセラーブランドのマーケティング戦略についても言及。「『カップヌードル』は直近で『具材まみれ』シリーズがヒットした。ポイントは新商品だけでなく基幹品の販売拡大にもつながったこと。話題性のある商品設計とプロモーションの連動が奏功した。手応えを感じており、『日清のどん兵衛』『日清焼そばU.F.O.』『チキンラーメン』などでもバリエーション展開を通じて定番品の活性化を図っていきたい」とした。

関連記事

インタビュー特集

Mizkan フルーティス刷新(後編) 「新・果実体験」を提供 リフレッシュしたい時に

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。家庭用では業務用で人気の「シャインマスカット」「あまおう」「白桃」を、家庭用・業務用の双方で「ざくろ」を新発売した。

Mizkanフルーティス刷新(前編) 果実のおいしさが主役の新製法 マーケティング本部 田中菜々美氏に聞く

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。

学生が育てるアーモンドの木 明日の社会へ価値循環 デルタインターナショナル×キャンポスブラザーズ

アーモンドの世界的産地である米カリフォルニア州でも、トップクラスの供給量を誇るキャンポスブラザーズ社。日本の販売総代理店を務めるデルタインターナショナルでは、学生の手でアーモンドの木を育てて商品化することを目指す玉川大学の...

原点は休憩中に見上げたキウイ 全国で食材発掘、生産者と企業つなぐ サッポロビールの地域創生事業

 明治9年(1876年)、北海道で新たな産業を興すべく設立された「開拓使麦酒醸造所」をルーツとするサッポロビール。創業150周年を迎える今も、その“開拓”の精神は息づく。ビール会社としての枠にとらわれない発想力を武器に、事業領域拡張の最前線で奮闘する人物に迫った。一次産業を担う各地の生産者と企業のバイヤーをつなぎ、農林水産物の需要創出をサポートするサッポロビールの地域創生事業。その原点は、外食企業のコンサルティングを手がける部署で九州の拠点に配属されていた、一人の担当者のひらめきだった。

カキ養殖の展望を聞く〈前編〉 “殻付き”市場拡大 環境変化と効率化に対応 シーパジャパン・吉本剛宏社長

瀬戸内海で養殖カキが甚大な被害を受け、生鮮市場だけでなく加工メーカーや流通にも影響が及んでいる。こうした中、従来の養殖方法とは異なるシングルシード養殖法が注目されている。