ファミリーマートは11月30日、「ファミフェス」と銘打ちコンビニ業界初のファッションショーを都内で開催、12月5日にはスウェットやパーカーを発売開始して「コンビニエンスウェア」を拡充した。
ファミリーマートはアパレルに傾注するのか――。
細見研介社長はアパレル畑を歩んだ過去を持つ。1986年に伊藤忠商事に入社しハンティングワールドジャパンの立ち上げほか、米バッグブランドのレスポートサックの販売権を獲得し同ブランドの世界展開を手掛けるなど手腕を振るった。
このような経験も踏まえて、アパレル強化の構えかと思いきや「アパレルはコンテンツの1つ」と細見社長と言い切る。12月4日取材に応じた。
「ファミフェス」では、モデルらが闊歩するスペシャルランウェイの中央に、外観上部がデジタルサイネージになっている円形店舗をしつらえて未来のコンビニ像も描いた。
「新しい時代が迫り来る中で、コンビニはコンテンツを売る場所だと考えている。ファミマのアプリ『ファミペイ』のダウンロード数は約1800万人に上り、『ファミフェス』はコンテンツとオウンドメディアがあれば、他社のメディアと連携しながらいろいろな仕掛けができるというメッセージでもある」と捉えている。
細見社長は、コロナでファッション業界が壊滅的な打撃を受けた中で、コンビニそのものが1つのファッションの切り口になり得るとみている。
「実は『ファミフェス』には多くのファッション関係者も来られ、ファッション業界復権に向けて皆さん新しい売り方や新しい発信の場にアンテナを張っておられる」と指摘する。
インバウンド需要が回復する中、外国人の目に映るコンビニにも着目する。
「外国人からすると、日本のコンビニは上質な場所で上質なモノが安く売られている印象で、あり得ない存在に映るらしく、コンビニはファッション発信拠点の1つになり得ると思われているようだ。アパレルは、時代が変わり、新しい時代に向けて今までとは違った価値が何か見出せる一例と位置付けている」と語る。