スターバックスが、コーヒーのエシカルな調達を目的に2004年から導入している独自の包括的ガイドライン「C.A.F.E.プラクティス」で280万人のコーヒー生産者が恩恵を受けた――。
スターバックスコーヒージャパンは9月13日、「Starbucks Seasonal Session Fall」を開催し、スターバックスが行っている環境保護活動やエシカルな調達を紹介した。
同社で5人しかいないコーヒースペシャリストである若林茜さんは「コーヒーは世界で年間5000億杯が飲まれており、世界の約70か国で栽培されている。スターバックスはそのうちの約30か国、およそ45万人の生産者と取引している」と説明する。
世界的にコーヒーの消費量が拡大傾向にある中、持続的なコーヒー栽培を目指してスターバックスコーヒージャパンで認定されたのが「C.A.F.E.プラクティス」。
品質・経済・社会・環境の4つの観点から、200項目のチェックリスト・ガイドラインにおよぶ。環境NGOのコンサベーションインターナショナルと開発した。
フェアトレードとの違いは、品質基準が盛り込まれている点と、あらゆる形態をカバーできるという点にある。
フェアトレードは小規模の労働組合を対象としているが、「C.A.F.E.プラクティス」では規模の大小に関わらず、組合や農園などあらゆる形態の団体をカバーしている。
品質・経済・社会・環境の4つの観点は、具体的には「品質基準」「経済的な透明性」「社会的な責任」「環境面でのリーダーシップとなり、一例には「法律で決まっている最低賃金が守られているか」「禁止されている農薬を使用していないか」などが挙げられる。
一度制定した後も、アップデートを重ねて適切なガイドラインになっているかを確認している。
2004年からスタートした「C.A.F.E.プラクティス」によって、2017年から21年の間に、280万人が「収穫量が増えて収入が増えた」などの恩恵を受けた。
その上、2004年以降、天然林の農地転換を禁じ、森林伐採を防ぐ役割も果たした。結果として、香川県とほぼ同じ大きさの17万7391ヘクタールの森林が保護されたことになる。
世界で生産されたアラビカ種のコーヒー豆のうち、「C.A.F.E.プラクティス」に参加する農園の生産割合は14%。スターバックスが購買する豆はそのうちの3~5%。
この比率を高めるべく、スターバックスは引き続き「C.A.F.E.プラクティス」に注力の構えだ。
「C.A.F.E.プラクティス」の実践のため、世界の10か所に現地で生活するアグロノミスト(農学者)のいるファーマーサポートセンターがある。
アグロノミストが直接生産地に赴き、「C.A.F.E.プラクティス」の紹介やデモ農園を用いて栽培方法の説明を行っている。
コスタリカの自社農園では、気候変動にも対応できるコーヒーの品種などの研究を行っている。