パックごはんに付加価値を 商品、環境こだわりPR ウーケ・花畑佳史社長

電子レンジで温めるだけで食べられるパックごはんが伸長している。コロナ禍では在宅療養者向けの食事として利用が拡大。美味しさや利便性の認知が浸透して、今年も安定した需要が続く。ウーケの花畑佳史社長に、市場環境や取り組みについて聞いた。

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――近年の市場環境は。

花畑 コロナ禍の3年間にレトルトパエリアや焼きめしなど「色めし」が増え、それらの棚が広がっている印象。またこれまでは簡便性が求められていたが、近年は美味しさやより便利なことが求められている。他社も品質を上げてきているので、われわれも米卸の神明グループの一員として、品質に妥協することなく付加価値向上に取り組む。

――具体的に付加価値を上げる取り組みとは。

花畑 当社工場は、無菌包装加工設備のため複雑なものは製造できない。米本来の風味を生かすため、酸味料無添加などをウリにしているが、最近は同業でも結構増えてきている。これまでは容量や原料米で差別化を図ってきたが、今秋には切り口を変えて「おかゆ」と「スパイシーカレーに合うごはん」を新発売。65歳以上が人口の30%以上を占める超・超高齢化社会を前に、老々介護や高齢単身世帯が増えていて、介護する人の負担を減らしたい。「おかゆ」は、富山県産米を使い日本介護食協議会のUDFに適合した商品。

また、「カレーに合うごはん」は、近年スーパーでもカレーコーナーが充実しており、カレーに合う米としてポップコーンのような香りがある鳥取県産長粒米を使用した。生産設備でできる範囲で、お客のニーズに応えられるものがあれば今後もトライする。健康志向はこれからも続くことが予想され、健康に特化したものも考えていきたい。

――環境への取り組みも熱心にされていますね。

花畑 環境に優しい工場を目指している。年間のCO2削減量は1千t。富山県入善の海洋深層水取水施設に隣接しているため、その水を施設内に循環させて熱で温まった空気を冷却。熱交換した水は温かくなるので、今度は隣接する牡蠣の浄化を行う企業の施設に送っている。牡蠣の殺菌には温かい海洋深層水が必要であり、ボイラーで温める必要がない。両社合わせて年間1千400tを削減できている。いまの時代はSDGs活動も注目されるので、PRを強化していきたい。

――直近の業績について。

花畑 前3月期は前年度(売上高約70億円)をクリア。生産設備が24時間フル稼働の状態が数年続いているため大きく伸ばすことはできないが、生産効率を高めた。得意先への供給を優先したことで既存先売上もプラス。今期も状況としては変わらないが、コロナが5類となり供給も落ち着いてきたので新商品開発を進めた。

――設備増強の考えは。

花畑 ニーズがますます高まると予想されるので考えてはいる。タイミングを見ながら検討している。ウーケの品質の良さを守ってきたことが今日に至るため、地に足をつけて成長していきたい。

業界では他社の生産拡張やレトルト米が増え、米消費が活性化されるのは良いことだと個人的には思う。

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