6.4 C
Tokyo
5.1 C
Osaka
2025 / 12 / 29 月曜日
ログイン
English
飲料系飲料缶コーヒーは復活できるのか? ダウントレンドの中で各社が値上げ

缶コーヒーは復活できるのか? ダウントレンドの中で各社が値上げ

 缶コーヒー市場は近年ダウントレンドにあり、5月1日からの各社の値上げにより、この流れは加速しているとみられる。

 缶・ペットボトル(PET)などのコーヒー飲料(RTDコーヒー)市場全体も、レギュラーコーヒーなど手淹れコーヒーの拡大・多様化の煽りを受けている模様で足踏みしている。

 缶やPETを含めた1-6月コーヒー飲料市場は前年同期比1%減と推定される。

 缶コーヒーは復活できるのか?――。

 缶コーヒーは近年低迷しているものの市場規模は依然大きく、各社ともSOT缶が今後も漸減傾向にあることをある程度想定しつつも、“出血”をできるだけ食い止めて現在のボリュームを維持し、あわよくば再浮上の好機をうかがうべく、コミュニケーション活動や店頭活動を絶やすことなく続けている。

 全国清涼飲料連合会の「2022年清涼飲料水容器別生産数量」によると、一般的に缶コーヒーと呼ばれるSOT缶の生産量はアルミ缶とスチール缶の合算で78万8624KL。中型ペットボトル(PET)の85万1219KLに次いで大きく、コーヒー飲料トータル(303万3400KL)の25%強と一定のボリュームを占めている。

「BOSS」缶コーヒー
「BOSS」缶コーヒー

 今年、缶コーヒーの明るい兆しとしては「BOSS」(サントリー食品インターナショナルの)の善戦が挙げられる。

 「BOSS」缶コーヒーの1-7月販売実績は前年超えを記録。この春に新発売した「ボス カフェイン」の2品を除外しても前年を上回った。

 善戦要因について、サントリー食品インターナショナルの野下剛SBFジャパンブランド開発事業部課長は「缶コーヒーヘビーユーザーをつなぎとめるべくコミュニケーションとプロモーションを絶やすことなく商品と連動させたことが効いてきたのだとみている」と述べる。

 市場環境については、各社とも主要販売チャネルの自販機での値上げ商品への切り替えが自販機オペレーターや設置先であるロケーションオーナーの理解を得ながら徐々に進められていることもあり、値上げによる影響は限定的との見方が大勢を占めている。

 ほぼほぼ自販機での値上げが完了する年末頃には一層の厳しさが見込まれる中、「アフターコロナに向かって人流が回復しており、ショット飲みの提案方法はまだまだあると考えている。つなぎとめていくことで、興味喚起を図り、飲用機会を増やしていきたい」との考えを明らかにする。

自販機で売られる「ジョージア」缶コーヒー
自販機で売られる「ジョージア」缶コーヒー

 缶コーヒーの主要販売チャネルは自販機。その自販機で健闘するのはコカ・コーラボトラーズジャパン。

 上期(1-6月)、5月1日出荷分から「ジョージア」缶コーヒーや「コカ・コーラ」350ml缶などの缶製品を値上げしてケース当たり納価を大幅に改善したほか、販売数量も1%増となり前年同期比をクリアした。

 8月10日決算説明会でコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスのビヨン・イヴァル・ウルゲネス副社長CFOは「自販機は今年5月に主力の一つである缶製品の価格改定を実施したことで数量への影響は避けられなかったが、これまで構築した強固なシェア基盤やコカ・コーラ公式アプリ『Coke ON(コークオン)』の積極活用で販売数量は1%増と第1Q(1-3月)のトレンドを維持した」と振り返る。

 今春から順次実施している「ジョージア」のブランド刷新も自販機の販売に寄与。

 コカ・コーラボトラーズジャパンのコスティン・マンドレア執行役員最高営業責任者兼営業本部長は「SOT缶でのキャンペーンで消費者トレンドを捕まえて、より高い価格でマーケットシェアも増やすことができ、さらに利益も上げることができた」と説明する。

リニューアルされた「モーニングショット」
リニューアルされた「モーニングショット」

 アサヒ飲料は缶コーヒー「ワンダ」のショート缶を全面刷新して缶コーヒーヘビーユーザーとの接点を強化している。

 「モーニングショット」「モーニングショット ブラック」「金の微糖」の中味とパッケージをリニューアルして9月5日から発売している。

 この中で「モーニングショット」「モーニングショット ブラック」は、コーヒーを注いだ時の焼きたて・挽きたて・淹れたてのような香気成分を凝縮した香り“新・ワンダモーニングアロマ”を加え、朝にふさわしいコーヒーの香りを引き立たせた。

 UCC上島珈琲は9月4日からスーパー・量販店を中心に今春の新商品「UCC BLACK無糖 New Ground Fruity Blend」の6缶パックを順次発売して定番品「UCC BLACK無糖」6缶パックとともに売場の盛り上げを図っている。

 なお缶やPETを含めた1-6月コーヒー飲料市場は前年同期比1%減と推定される。

 *9月27日付コーヒー飲料特集を改編

関連記事

インタビュー特集

小川珈琲、バリスタ育成とコーヒー産地での活動に先駆的に取り組みブランド力向上 基盤強固に新事業を展開 宇田吉範社長CEOが意欲

9月1日から現職の宇田吉範代表取締役社長/CEOは、バリスタとコーヒー産地での活動に先駆的に取り組み、小川珈琲のブランド力を引き上げた立役者。

米国の認証機関として、米国輸出への総合支援に自信 認証だけでなく、企業の社会的信頼を高める仕組みづくりもサポート ペリージョンソン ホールディング(PJR) 審査登録機関

ペリージョンソン ホールディング(TEL03-5774-9510)は、ISO認証、ビジネスコンサルティング、教育・研修事業を通して顧客のサステナビリティ活動の普及に尽力。

国際的情報豊富な感覚で審査を展開 細分化したフードセクターに精通した審査員多数 SGSジャパン(SGS) 審査登録機関

SGSはスイス・ジュネーブに本拠を置き、試験・検査・認証機関としては世界最大級の規模である。世界115カ国以上に2500以上の事務所と試験所を有し、各産業分野における検査や試験、公的機関により定められた規格の認証などを行っている検査・検証・試験認証のリーディングカンパニーである。

キンレイ「鍋焼うどん」、さらにおいしく進化 自社工場でかつお節を削り出した理由とは 50年のこだわり脈々と

キンレイの冷凍具付き麺「お水がいらない」シリーズが販売好調だ。2010年に立ち上げ、昨24年までに累計2億食以上を販売している。

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。