江崎グリコは秋冬、アーモンドミルク市場の9割のシェアを握る「アーモンド効果」で食シーン提案を強化していく。
人流回復による家庭内需要の減少で足踏みする1Lの強化と、前期(12月期)から今上期にかけて購入頻度が低下しているアーモンドミルクのライトユーザーを呼び戻すのが狙い。
食シーン提案の目玉施策としては、Mizkanの鍋つゆとのコラボを10月から順次実施している。
江崎グリコ健康事業マーケティング部の田中莉夏子氏は「Mizkanさまとは『アーモンド効果』を組み合わせて“健康的につゆまでおいしく飲みほせる”お鍋を提案したいというところから企画を練っていった」と語る。
コラボは店頭とSNSで展開していく。
店頭では、「アーモンド効果」の「オリジナル」「砂糖不使用」「3種のナッツ」の1LサイズにMizkanの「〆まで美味しい鍋つゆ」のトライアル品をベタ付けして販売している。ベタ付けは計5万個を用意している。
10月2日からは、「アーモンド効果」を使用した共同開発レシピをHPで公開。
レシピは以下の6種類。
――アーモンドミルクとごま豆乳のクリーミースープ鍋
――電子レンジで!焼あごだしとアーモンドミルクのほっこりスープ
――焼あごだしとアーモンドミルクの和風スープ鍋
――電子レンジで!「寄せ鍋つゆ」とアーモンドミルクの洋風スープ
――ミルキーアーモンドミルク鍋
――担々風アーモンドミルク鍋
SNSのコミュニケーションについては両社から動画を配信するなどして展開していく。
その他の施策としては、「アーモンド効果」全品のパッケージにシールPOPを貼りNo.1訴求を展開している。
今後は、「砂糖不使用」の更なる成長にも期待を寄せる。
「オリジナル」「砂糖不使用」「3種のナッツ」のアイテム別で、「砂糖不使用」は大きく伸長。1Lと200mlを合算すると、飲用杯数がシリーズ全体の48%を占めるまでになった。
「飲料全般で無糖の需要が高まっている。アーモンドミルクも同様に、砂糖不使用のニーズが高まっており今後も強化していきたい」と述べる。
アーモンドミルクの市場については、今後も拡大すると予想。
「上期だけをみると足踏みしていると受け止められるかもしれないが、コロナ前から比較すると、伸長度としては順調に推移している。海外でもアーモンドミルクの市場は拡大しており、日本でもまだまだ広げていける土壌がある」。
1-8月期のアーモンドミルク市場は、販売金額では前年を上回り、販売数量では若干の前年割れと推定される。
同期間、「アーモンド効果」も販売金額が拡大。販売数量については市場の落ち込みよりも軽微となりほぼ前年並みとなった。
容器別では、人流が回復し外出時での飲用シーンが拡大したことで200mlが伸長。
その反面、家庭内での飲用機会やストック需要が減ったことで1Lのタイプはライトユーザーが離反して減少した。
離反防止策として上期実施したSNSでの推奨キャンペーンやサンプリングは「一定の効果が得られた」という。
「SNSでは身近な人から勧められることで商品の価値を理解しアクティブユーザーになっていく流れがあった。サンプリングはジムやビューティーサロンで実施し、一緒に通っている友人に勧められて飲用が広がっていく場面も見られた」と振り返る。
6月から8月にかけて実施した熱中症対策飲料としての訴求については「熱中症対策での訴求を本格的に行ったのは今年が初めてで手探りの状態で行った。店頭では、熱中症対策コーナーで幅広く展開ができた。新たな動きとしてお子様にも手に取っていただくことがあり、来年はさらにユーザーの裾野を広げたい」との考えを明らかにする。
8月に行った味の素AGFの「ブレンディ」インスタントコーヒーとのコラボレーション企画“カフェアーモンドオレは「かなりの反響で、想定の何倍もの応募があった。バリエーション豊富なコーヒーのファン層と非常に相性が良かった」と振り返る。
最近では、スーパーやドラッグストアでの200mlのまとめ売りが好評を博している。
「飲用ニーズだけでみると1Lは開封後に飲み切れず、家庭内においても200mlの方が使いやすいのかもしれない」と分析する。
販売チャネルでは、ECが好調。「数量・金額ともに純増となっている。ヘビーユーザーが2月の価格改定後もしっかりと定着している様子がみられる」。
業務用も堅調となっている。
9月27日-29日に開催された日本最大のコーヒーイベント「SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2023(SCAJ2023)」に初出展。カフェオーナーを対象に、アーモンドミルクラテの提案を行った。
コーヒー以外でも、料理のメニュー提案など問い合わせが増加中だという。
なお「アーモンド効果」は来年、発売10周年の節目を迎える。