「缶から生ビール」実現 樽生サーバーの導入難しい店に サントリーの新マシン「ノミーゴ」

生ビールのニーズはあるけど、樽生サーバーを導入するほどの規模ではない…そんな飲食店に朗報だ。サントリーが5日からテスト展開を開始した業務用新ビールサーバー「nomiigo(ノミーゴ)」。樽の代わりに家庭用の缶を使い、一杯ごとに“飲食店の生ビール”のうまさを提供する。

「コロナ禍を経て、外食に『質』を求めるお客様の割合が高まったことが調査で分かった。外食で増えたお酒としては、ビールを挙げた人が最多。おいしいものを食べながら、おいしいビールを飲みたいという意識が高まっている。新しい顧客が増えないことが課題となるビール市場に、新しいオケージョンを提供する」。5日の発表会で、同社ビールカンパニーの多田寅(すすむ) マーケティング本部長が表明した。

ビールは長期の品質保持ができず、開栓後は速やかに使い切る必要がある。最小でも5ℓ以上の樽生サーバーは、注文数の少ない店では導入が困難だった。同社の推計では、こうした店舗が国内の飲食店のうち約4分の1を占めるという。

「これを解決すべく導き出したのは、缶専用業務用サーバー。お店で飲むおいしい生ビールにとって重要な要素である『温度』と『泡』にこだわり、2年以上をかけて完成させた」。

そう説明するのは、社内横断型組織として2年前に発足したイノベーション部の伊藤優樹氏。「ビアボール」「サントリー生ビール」に続く第3弾として、組織発足当初から開発に取り組んできた「ノミーゴ」を放つ。

セットするのは家庭用の「プレモル」(nomiigo(ノミーゴ)) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
セットするのは家庭用の「プレモル」(nomiigo(ノミーゴ))

「当初はコロナ禍で飲食店の客数が減っている状況だった。いずれ回復すると見込む一方、お店を小型化する動きもみえており、小容量で提供できるサーバーはこの先必要になると予想して開発に着手した」(伊藤氏)。

「ザ・プレミアム・モルツ」の350㎖缶を常温のままセットしてボタンを押しレバーを引くと、飲みごろの4℃に急速冷却されたビールが抽出される。さらに「泡モード」ボタンを押すと、クリーミーで口当たりのよい泡を抽出。1缶ごとに使い切る設計のため樽生サーバーのように配管内にビールが残らず、洗浄時にロスが出ないのがメリット。また樽の交換作業などがなく、オペレーションもシンプルで労働負担が軽減できる。

名称には「飲みごろ」「飲みにGO」の意味を込めた。ファーストフードやラーメン店など食事とともにビールを楽しむ業態を中心に、注文数が1日10杯以下の店舗での導入を想定。店側とは「プレモル」のみでの利用を条件に、機材を貸与する契約を結ぶ。年内に100台をテスト展開。その後は当面1万台を目標に導入拡大を図る計画だ。

350㎖以外の容量や家庭向けの展開については、今後の検討課題だという。

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